絵画技法の本

もくじ

技法

グレーズ/グレージング【伊:Glaze】

スカンブル/スカンブリング【伊:scumbling】

スフマート【仏:伊:Sfumato】

キアロスクーロ【伊:Chiaroscuro】

グラーション【英:米:gradation】

グリザイユ/カマイユ【仏:Grisaille/camaieu】

インパスト【仏:伊:impast】

コラージュ【仏: 英: collage


技法

グレーズ/グレージング【伊:Glaze】

 

古典的な油彩技法のひとつです。
グラッシ【 仏:glacis】 やラズール【独:Lazur 】(あまりこちらを使う人は見かけません。)ともいいます。
絵の具を薄く溶いて、透明な色層を重ねていく技法で、スフマートを行う際には、必須となる技術になります。
油絵の技術がファンエイクという画家によって確立されたのが600年前ですが、その頃からこのグレーズという技術は使われてきました。
古典的な油彩画の技法ですが、アクリル絵の具でも応用できます。その場合はリターダーというメディウムを使い、乾燥を遅らせるといいでしょう。
物体に光を当て、まっすぐ通過すると物体は透明に見えます。
その光が通過する過程で様々な色を通過するとより複雑な色調で深みのある美しい画面になります。
不透明(ガッシュ)な色材で描かれた画面は、顔料がすき間なく表面をおおうため光が反射され不透明に見えます。

例えば、不透明な青の上に透明色の黄色をグレーズしてみましょう。
そうすると、光が上の層の黄色を通過して青で反射するので、ただ混色して作られた緑よりも、美しく深みのある緑の画面になります。
透明技法はこの原理を効果的に使った技法です。

 

スカンブル/スカンブリング【伊:scumbling】

グレーズによく似た技法ですが、使用する絵の具の透明度が違います。
このスカンブルも絵の具を薄くといて塗っていく技法ですが、異なる点は絵の具の透明度です。

グレーズは透明度が高い色層を重ねるのに対し、スカンブルは透明ではなく半透明の絵の具を重ねます。

 

スフマート【仏:伊:Sfumato】

スフマートは現代では忘れ去られた技法で、あまり上手く使える人を見かけません。
僕の描く作品では良く使う技法であり、むしろスフマートがなければ僕の作品は成立しないというぐらいスフマートは核となっています。
そんなスフマートですが、スフマートというのはイタリア語(Sfmato)で煙という意味です。
スフマートは絵の具を薄く重ねて(グレーズ)透明色の層を煙のようにぼかして色彩の移り変わりが認識出来ないほどに塗り重ねていきます。
光から影へを続く無限ともいえる色調の変化を表現するものであり、繊細な光を描くことにも繋がります。
完璧なスフマートをするには正確なグレーズ、絵の具の溶き具合い、タイミング、繊細な筆さばきなど卓越した技術が必要になります。
不透明なものの上に透明なフィルムを重ねていくのを想像して頂けると分かりやすいかもしれません。
同じ視覚に訴える技法にインパスト(厚塗り)がありますが、インパスト(厚塗り)が造形的な要素なのに対し、スフマートは正反対の繊細な技法になります。

スフマートは16世紀の画家が創始したとされていて、やはりスフマートの名付け親でもあるレオナルド・ダ・ヴィンチが有名です。(レオナルドが開発したとも言われています。)
中でもやはり【モナリザ】にはレオナルドの卓越したスフマートを見る事が出来ます。

 

キアロスクーロ【伊:Chiaroscuro】

西洋絵画の古典技法です。
スフマート同様、ぼくの美術活動はキアロスクーロの研究にかなり費やしました。
僕の作品の核となる技法です。

キアロスクーロ(Chiaroscuro)とはイタリア語で「明暗」という意味です。
透明で明るいという意味する「明」のキアロ【伊:Chiaro】と、曖昧で暗いことを意味する「暗」のスクーロ【伊:Scuro】が合わさった複合語です。
「明暗法」「陰影法」「明暗表現」などと呼びます。

キアロスクーロは、ルネサンス期のレオナルド・ダ・ヴィンチによって創始されたと言われています。
明暗を強調することで光を強調し、絵に深みを出す表現技法を指します。
その約1世紀後、バロック期に活躍したカラヴァッジョによってキアロスクーロは広まります。
カラヴァッジョはロウソクの光や窓からの光など限られた光源をドラマチックに使い作品を演出します。
その後、カラヴァッジョが新たな芸術へ昇華させたキアロスクーロを後世の芸術家、レンブラントファンレインなどにも多大なる影響を与えています。
1920年代の美術史家のロベルト・ロンギは、「リベラ、ベルニーニ、ラ・トゥールそしてレンブラントは、カラヴァッジョなしには存在し得なかっただろう。そして、ドラクロワ、クールベ、マネの作品もまったく違ったものになっていただろう」
と書いています。
カラヴァッジョがはあまり日本では人気がない画家ですが(キアロスクーロ自体あまり親しみがありません。)カラヴァッジョが美術史に与えた影響は計りしれないものです。

グラーション【英:米:gradation】

グラデーションとは、個々の色の集合体を意味します。
グラディエント (仏:gradient)
※(各点に対する変化の度合いという意味の為、正確にはニュアンスが少し違うと思います。)とも言います。
乾くのが遅いため油彩画では、割りと簡単に出来ます。
グラデーションは色相のグラデーションや明暗のグラデーション、もしくは両方の要素を持ったグラデーションがあります。
色数が少ないほど、明暗差が少ないほど作るのは簡単なので少ない色数から練習すると良いでしょう。
また、色相環で隣り合う色をグラデーションすると綺麗なグラデーションが出来ます。
アクリル絵の具で行う場合は、ガッシュを使う方が楽ですが、透明色で綺麗なグラデーションを作るためには、グレーズスカンブルの技術が必要になります。
アクリル絵の具で行う際はリターダーを使うと綺麗なグラデーションを作りやすくなります。

グリザイユ/カマイユ【仏:Grisaille/camaieu】

グリザイユはフランス語で【灰色】を指し、白黒の無彩単色で構成する画面に対しカマイユはアンバー系、バーントシェンナなどの褐色のセピアで構成する有彩単色の画面を指します。(レリーフが施された単色の宝石や貝殻に見られる色調のこともカマイユと呼ばれます。

両方混同して覚えてる人も多いですが、正確には違うもので、カマイユはグリザイユに含まれる技法になります。
西洋絵画の古典技法では、まずグリザイユやカマイユで明暗だけを表現し、その後に色彩の要素を加えて描いていました。
明暗と色彩を別けてシンプルに考えられるので、一緒に考えるのが困難な場合などにもおすすめの技法です。

 

インパスト【仏:伊:impast】

絵の具を厚塗りし盛上がりや、絵筆またはペインティングナイフの跡がはっきりわかるほどの画面上の絵具の凹凸を出す技法です。
インパストを行う事で 平面の画面上に、立体的な造形を生み出します。
作品に造形的な要素が生まれ、絵の具の物質感を直接的に視覚に感じる事が出来ます。
元々油彩画の技法ですが、アクリル絵の具でもモデリングペーストなどを利用する事で表現が可能になります。


コラージュ【仏: 英: collage】

コラージュとは現代絵画の技法の1つで、
フランス語の「糊付け」を意味する言葉です。
ファイン・アートとしてコラージュ技法が使われるようになったのは1912年頃のキュビズム時代のパブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラックなどが始めたパピエ・コレに端を発すると言われています。
ガラス、ビーズ、布など様々なものを画面に張り付ける事により、造形的な面白さや異素材を組み合わせる事により新しい効果を生み出したり、素材の意外性や特殊効果を生み出します。
アクリル絵の具コラージュ技法を行う際はグロスメディウムなどを使いましょう。



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