もくじ
アクリル絵の具について
比較的新しい絵の具なので検証実験データはありませんが、データの上では油絵の具よりも耐久性に優れていると言われています。(油絵の具程歴史がないので確かなことは誰も分かりません。)
アクリル樹脂をバインダー(展色材)に用いた絵の具で、アクリル絵の具と通称されるが、正確にはアクリル・ポリマー・エマルジョン絵の具といいます。【顔料】+【エマルジョン】=アクリル絵の具です。水溶性ですが、乾くと耐水性になります、とても乾くのが早く、それがメリットでもありデメリットでもあります。
アクリル絵の具は乾いた時と濡れている時では色が違います。これはバインダーとなるエマルジョンが乳白色をしている為です。(エマルジョンは通常は乳白色の液体ですが、乾くと透明になる性質があります。)
各種メディウムを使えば色々な基底材に描くことが出来たり、油絵の具のような表現も可能になります。
アクリル絵の具はその振り幅の広さも魅力になります。筆は動物系の筆も使えますが、痛みやすく勿体ないので、お値段も手頃で気軽に使えるナイロン系の筆をおすすめ致します。
乾燥が早く乾くと水に溶けなくなってしまい同じ色を作るのが困難になる為、混色する際には多めに作っておくと便利です。
その際は、空気の入らない蓋のしっかりしまる容器にいれて保管して下さい。
色によっては特にカビの発生の心配もありますので早目に使いきって下さい。
制作を中断してしばらく席を離れる際は、霧吹などで水をかけてラップをすると良いです。
また、乾燥時間に慣れないうちはウェットパレットや紙パレットを使うのもひとつです。 他社のアクリル絵の具を混ぜて描いている人を良く見ますが、これは自己責任でお願いします。
この件で画材メーカーに問い合わせると「推奨はしておりません。」「自己責任でお願い致します。」と言われます。
それぞれのメーカーによって使っている顔料もメディウムも違うため、完全に混ざらない可能性、また、乾いたあとに何らかの予期せぬ問題が発生する可能性がある為、アクリル絵の具自体まだ歴史が浅く長期間の検証実験の結果が無いことなどを踏まえて、メーカーは確かなことを言えないのだと思います。
制作後には、作品保護の為ニスを塗る事をお勧め致します。
アクリル絵の具専用のニスにはマットバーニッシュ、サテンバーニッシュ、グロスバーニッシュ、クリスタルバーニッシュなどがあります。アクリル絵の具は、独特の癖はあるものの、油絵の具のような誓約は少なく扱いやすい絵の具です。 アクリル絵の具には透明タイプのアクリル絵の具とアクリルガッシュがあります。それぞれの特長をご紹介致します。
アクリル絵の具
透明タイプのアクリル絵の具で仕上がりは半艶で、鮮明な発色をします。
薄くといて古典的なグレーズ、スフマートをしたり、透明水彩絵の具のような「にじみ」や「ぼかし」の表現をしたり、メディウムを使い盛り上げて描いたり、とてもオールマイティな絵の具です。
また白を混ぜて不透明にしてガッシュのような効果をあげることも可能です。
そのままでもある程度はインパスト(厚塗り)に耐えられますが、なるべく盛り上げる際はモデリングペーストを使いましょう。
支持体を選ばず描けるのも特徴で、アクリル絵の具とメディウムを併用すれば絵画表現のほとんどは応用できると思います。
アクリルガッシュ
光を乱反射する粒子が入っており、乾くと艶消しの不透明になります。
ムラが出にくく隠蔽力がとても強いのが特長です。
普通のアクリル絵の具同様に、乾燥が、とても早く、その特長からデザインやポスターなどに良く使われてきた絵の具になります。
また、下地材に使われるジェッソもこのアクリルガッシュに分類されます。
その特徴からグラデーション技法や、下塗りに便利な絵の具です。乾くとマットな質感になる為作品をマットに仕上げたい時にもアクリルガッシュを使うのが良いでしょう。
しかし、アクリルガッシュはバインダーの複合量が少ないため、あまりインパスト(厚塗り)のしすぎははひび割れの危険性がある為おすすめしません。アクリルガッシュでインパスト(厚塗り)をしたい時はモデリングペーストを使いましょう。