横浜本牧絵画館

黒猫の画像

こんにちは黒猫の美術教室です。

 

横浜本牧絵画館の入り口

先日、課外授業で「横浜本牧絵画館」へ行って来ました。
今回はその内容をお伝えできればと思います。

当日は「串家物語」や「ポケモンセンター」にも行きました。


出来る限りご紹介していきたいのですが、伝えたい事が多く腱鞘炎になってしまいそうなので、今回は数回に分けてのブログになります。
精一杯頑張りますので、どうか最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。

横浜本牧絵画館の館内

まずは、課外授業の様子をお伝えする第一回目としまして、「横浜本牧絵画館」での様子をご紹介いたします。

 

横浜本牧絵画館では館長さんやスタッフの方々が全面協力をしてくださり、とても充実した時間となりました。

横浜本牧絵画館の方々にはこの場を借りて改めてお礼を申し上げます。
長時間 観覧させていただき、ありがとうございました。子供達にとって大変貴重な体験になったと思います。

心より感謝いたします。

館内の様子も許可をいただき撮影させていただきました。後程たっぷりとご紹介していきます。
尚、作品に関しましては画集から撮影したものを掲載させていただいておりますのでご了承下さい。

 

見易いように目次を作りましたので、保護者の方は目次からお子様のチームへとサッと飛んでいただいても大丈夫です。

では、始めましょう。


目次

1.問題

 

2.トラ猫チーム

 

3.三毛猫チーム

 

4.シャム猫チーム

 

5.白猫チーム

 

6.黒猫チーム

 

7.まとめ


 

問題

今回の課外授業は、僕が作成した問題を解きながらの作品観賞といたしました。

二人ずつのチーム戦として、高得点の上位三チームにひよこシールを贈呈します。

全てのチーム名に「猫」が入っております。

チーム編成は、僕の独断と偏見により(相性等を考慮しながら)協力したり、楽しく進められそうな組合せにしました。

子供達が楽しく学べるよう、これは結構悩んで決めました。

 

問題用紙

取り組む問題はこちらになります。

問題は作品をじっくり観ないと解けないものになっているので、嫌でも真剣に作品を観る事になります。

大袈裟に言うと「黒猫式 強制観賞システム」です。

問題は二枚編成になっていて、一枚目はチーム二人で協力して答える問題となっています。

二人の答えが同じになっているかもチェックポイントです。個々で進めず協力して答えを探しましょう。

作品を良く観れば低学年でも解けるようにしています。


そして、二枚目。

こちらは個々での回答となります。

皆の感情や思いを自由に描いてもらうような構成になっています。


実は一枚目はサブ的なもので、本当に僕が見たいのはこの二枚目なのです。


問題用紙

二枚目はこちら

この二枚目のポイントが優勝を左右するカギになります。

色々な感想や、面白い考えが見られる事を期待しています。


それでは早速、チームごとにみていきましょう。

 

トラ猫チーム

トラ猫の画像

まずは、トラ猫チームのご紹介です。

中学1年生と小学校5年生の男女チームです。
仲が良いのと、なんか面白そうなのでこのチームにしてみました。

 

館内の様子

 

 

 

では、チーム共通問題の一枚目の回答をご覧下さい。

 

子供の解答用紙

こちらです。

Q1.の岩田榮吉さんが影響を受けたのはフェルメールに代表される【どこの国の何世紀】の絵画でしょうか。

答えはオランダ、17世紀ですね。

正解です。

岩田榮吉さんは、17世紀の古典技法を使った絵画作品に影響を受けています。
写実的な表現はフェルメールや、ヘラルト・ドウを彷彿とさせます。

★ヘラルト・ドウに関しましてはレンブラントの弟子 ヘラルト・ドウをご覧下さい。

続いては、二枚目をご覧下さい。

子供の解答用紙

こちらです。



展示の感想に注目して見てみましょう。

「(中略)どの絵(も)細かいところまですみずみ描かれている事に感動した。」

 

小泉純一郎

「感動した。」とは素晴らしいですね。

僕も嬉しいです。

 

子供の解答用紙

続いては、小学校4年生の二枚目です。

 

絵画作品

Q8.の城戸義郎さんのこちらの作品に、何かひとつモチーフを加えるとしたら何をどこに描きますか?という問題に注目してみましょう。

「天秤の中に特徴的な鍵を描く!」

良いですね。特徴的なというのが、また良いですね。

どんな鍵でしょうかね。
面白い鍵なら、作品のワンポイントになって合いそうです。


さて、こちらのトラ猫チームですが、一枚目のチーム共通問題での間違いが響き、残念ながら順位は5位となってしまいました。

共通問題を落とすと上位を狙うのは厳しくなってしまいますからね…。もっと上位を狙えた二人なのでもったいなかったです。

ですが、二枚目は二人ともに良く観覧して自分の意見や感想がしっかりと書かれていました。こちらは当然高評価です。頑張りました。

 

三毛猫チーム

三毛猫の画像

三毛猫チームは小学2年生と小学3年生の最年少チームになります。

 

子猫チームです。

 

現在の黒猫の美術教室では小学校4年生からの募集しかしていないのですが、彼女達は、そうなる前に教室へご入会いただいた貴重な低学年の生徒様です。

始まる前物凄くやる気を出していたので、頑張れば上位を狙えると思います。

個人的にも、是非上位を狙ってほしい二人です。

二人は年齢的に明らかに不利なので、「僕への質問をOK」というルールをつけました。

美術館での様子はこちらになります。

館内での子供達の様子

楽しみながら問題を解いています。

 

 

渡辺陽一

感心したのは、取り組む姿勢です。まるで戦場カメラマンのように色々なポーズをしながら問題に取り組んでいました。


では、チーム共通問題の一枚目からみてみましょう。

 

子供の解答用紙

こちらです。

Q2を見ていきましょう。穴埋め問題になっています。


Q2.トロンプルイユは、長い歴史の中で培われた絵画のジャンルです。
岩田榮吉さんは、○○的な○○○○を追及し、そのひとつの到達点としてトロンプルイユを手がけました。

○○の部分を埋めるのですが、皆様わかりますか?

正解は、岩田榮吉さんは、写実的な細密表現を追及し、そのひとつの到達点としてトロンプルイユを手がけました。

が正解です。

見事、三毛猫チーム正解です。

会場内には展示作品の説明やチラシも置いてありましたので、それらを良く探して正解にたどり着いたようです。

偉いですね。



では、続いてそれぞれの回答の二枚目をみていきましょう。

まずは、小学2年生の回答からです。

 

子供の解答用紙

こちらです。

 

頑張って書いていたので、もうなんか答案用紙がすごい事になっています。
矢印がいろんな方向にあり、一見何かの暗号なのか?と思いました。

 

展示の感想の部分を見ていきましょう

頑張って書いています。
分かりやすく翻訳しますと。

「私には(も)練習したら描けると思った(^_^)
みんなの(展示作品)を観てると本物みたいと思った。
マヌカンという作品を見たら、こわいと思った。」


まず、「私も練習したら描けると思った(^_^)」
ですが、

これは良いですね、頑張ってほしいです。
是非練習して描けるようになってほしいです。

最後の顔文字もいい感じです。

「マヌカンという作品を見たら、こわいと思った。」

これは、こちらの作品になります。

 

絵画作品

確かに、仮面(マスケラ)の部分が低学年女子にはこわく見えるのかもしれません。


続きまして、小学校3年の二枚目の回答を見ていきましょう。

 

子供の解答用紙

こちらです。

 

まず、字が上手ですね。

 

感想の下にある×マークが気になります、なんでしょうかこれ。

 

さて、気にしないで、Q7の一番好きな作品とその理由を教えて下さいに注目してみましょう。


好きな作品は「XVI VI MMXVⅢ」で、理由は美味しそうないちじくだっからです。


この回答は面白かったです。

 

絵画作品

確かに写実的に描かれていて、とても美味しそうないちじくです。



さて採点結果ですが、三毛猫チームは4位です。

チーム共通問題が惜しくも一問不正解でした。

頑張っていたんですけどね、本当に。

僕は館内で子供達の様子をずっと見ていましたが、本当に良く頑張っていました。

ちょっと難しかったかな…ごめんね。

 

シャム猫チーム

シャム猫

シャム猫チームは、中学校2年生と小学校5年生の女子チームです。

中学校2年生の女子は優しく穏やかで、癒し系な子なので、年下の子の面倒をしっかり見てくれるだろうと、このチームにしました。

館内での子供達の様子

美術館での様子はこちらです。
5年生の子もしっかりお姉さんについて行っていますね。


では、一枚目のチーム共通問題を見ていきましょう。

 

子供の解答用紙

こちらです。

XYLISWAP

Q3.山本大也さんの《XYLISWAP》というガムの作品がありますが、描いているのはどの部分?

回答: 箱の中のガムの部分


はい、シャム猫チーム正解です。


この作品面白いですよね。
画集から撮影していますが、印刷物だとさらにリアルに見えます。

子供達はこういった作品は楽しいでしょうね。


さて、続きましてチーム個別問題の二枚目を見ていきましょう。

まずは、小学校5年生の回答です。

 

子供の解答用紙子供の解答用紙

こちらです。

展示を見ての感想にご注目下さい。

まず、物凄く長いです。

表に書ききれず、裏にまで書かれています。

素晴らしいですね、沢山感想を書いてくれて嬉しいです。

あまりに長いので抜粋して見ていきましょう。

「美術館は面白くて不思議がいっぱいの世界が美術館だと思います。
そこに入ると謎の世界につつまれている気がします。
また行ってみたいなと初めて思いました。」

「こんな世界は初めて出会いました。
物語で考えると「不思議の国のアリス」です。
不思議の(な)絵がいっぱいの世界は初めてです。
影が立体感を表すということを知り、光も立体感を出すということも知りました。
色も物も全部が美術なんだなと分かりました。
さっきのわたの絵も立体と光など色んなものが使われていて一つの絵が出来上がっているんだと思います。
その絵を不思議に思えたのは、それが使われていているからです。
普通の絵本では思わないのに、一つの絵を見ると分かりました。
またこの美術館に行きたいです。」

もうパソコンで打つのも大変なぐらい書いてくれています。

しかし、素晴らしい事を書いていますね。

これを館長が見たらとても喜ぶと思います。

 

不思議の国のアリス

トロンプルイユを「不思議の国のアリス」に例えているのも面白いですね。
最後は、「また、この美術館に行きたいです。」
と完璧な締めくくりです。

これは、僕も連れて行けて良かったなと思いました。


続きまして、中学校2年生のチーム個別問題の回答をご紹介します。

 

子供の解答用紙

こちらです。

Q7.一番好きな作品と、その理由を教えて下さい、を見ていきましょう。

「「XV VⅡ MMXVⅢ」 虫とグラスの光が反射しているから。昔みたことがあり印象に残っていた。3Dみたいな立体感があった。」

 

絵画作品

こちらの作品ですね。

確かにこの作品、3Dのような立体感がありますよね。

是非皆様も実物を見ていただきたいです。


さて、ジャンル猫チームの順位は3位でした。

頑張りましたね。
特に、展示を見ての感想の部分で点数を取りました。

いつになるかわかりませんが、また皆で美術館に行きましょう!


白猫チーム

白猫の画像

白猫チームは中学1年と小学6年の女子チームです。

普段から仲良しのチームなので、チームワークも抜群でしたよ。

二人が真剣に取り組んでいる姿が見られて嬉しかったです。

 

館内での子供達の様子

では、早速一枚目のチーム共通問題を見ていきましょう。

 

 

子供の解答用紙

こちらです。

Q4の「池田誠史さんの《Display Shelf》という作品の中にある時計は何時何分を指しているでしょう」を見ていきましょう。

 

絵画作品

こちらの作品ですね。

白猫チームの回答は、5時53分。


はい、正解ですね。
ちなみに、52分でも正解にしています。




さて、続きまして二枚目のご紹介になります。

 

子供の解答用紙

こちらです。
こちらは、小学校6年生の二枚目になります。

 

展覧会を見た感想の部分に注目してみましょう。

「見た感想は全部本物みたいで、すごいと思いました。中略
水晶?みたいなものに物が反射してすごいと思いました。
影や光の所もすごい細かくてすごいと思いました。
人形みたいなものも描いていてすごいと思いました。
テープが描いているのがあって、テープが本物みたいで、すごいと思いました。
額も作っているものがあってすごいと思いました。
反射で人物が写っているものがあってすごいと思いました。」

 

 

いやぁ物凄くすごいと思ってくれました。

 

 

感想文の中で、計8回もすごいを書くとはすごいですね。

これだけすごいと思ってくれたのでしたら、課外授業を行った甲斐がすごいあります。

 

 

続いては、こちらの中学1年の二枚目をご覧下さい。

子供の解答用紙こちらです。

Q7.一番好きな作品と、その理由を教えて下さいにご注目下さい。

 

館内での子供達の様子

この子は鑑賞中に館長とお話して貴重なお話を聞けたようで、そのお聞きしたお話の中から答えてくれたようです。
右のお方が「横浜本牧絵画館」の館長です。

絵画作品

1981年「香水瓶とガラス玉(トロンプルイユ)未完」

その作品がこちらです。

自分の感想と館長から聞いたお話を上手にまとめていますね。
さすが中学生です。

「厚さもきれいにとっていてすごいと思いました。」

これは、僕が教室でいつも教えていることです。
こういった部分を見て、勉強できたのは本当素晴らしい事です。

「トランプの柄が描かれていないのも、それはそれで面白いと思いました(本当は描きたかった所みたいです)。」

この作品はタイトルに未完とあるように、手前のトランプの柄が描かれていません。

理由はわかりませんがそれ故に未完なのですね。

(本当は描きたかったみたいです)の部分は館長から聞いた裏話の部分でしょうか。
僕も知らない部分ですからね。

今回は、良い経験になりましたね。
これからのご自身の制作に活かして下さいね。

チームワークが良かったのと、真面目な二人ですから、良い点数を取ってます。

一枚目は全問正解です。
二枚目の感想部分が一位のチームに、僅差で及ばず白猫チームは2位でした。

頑張りましたね!

ひよこシール8枚獲得です。

 

黒猫チーム

黒猫の画像

黒猫チームは、小学校6年生と小学校4年生のチームです。

6年生の子はしっかり者で、4年生の子は魚や虫に詳しい素直な子です。
面白い組合せですが、二人にはポケモンが好きという共通点がありますし、上手くいけば高得点を狙えるチームだと思います。

 

館内での子供達の様子館内での子供達の様子

課題に取り組む様子です。
小学校6年生の子が4年生を引っ張っています。
良いチームワークですね。

まず、チーム共通問題の一枚目からみてみましょう。

 

子供の解答用紙

こちらです。


Q5の「池田誠史さんの《Human Body》という作品の中にある棚に複数枚のデッサンが貼られていますが、このデッサンは誰の作品でしょうか。次の中から選んで○をつけましょう」をご覧下さい。

 

絵画作品

こちらの作品です。


選択問題になっています。
皆様も考えてみましょう。↓から選択して下さい。

・メラゾーマ

・フェルメール

・レオナルド・ダ・ヴィンチ

・ムンク

・フェルメーレ




正解はレオナルド・ダ・ヴィンチですね。

正解です。

フェルメールとフェルメーレがあることで引っかけ問題にしたつもりでしたが、誰も引っ掛かりませんでした…。

この問題は全てのチームが正解していました。

 

ドラクエの画像

メラゾーマはドラクエの呪文ですね。

世代の違いからか、誰にも気付かれませんでした。

絵画作品絵画作品

感心するのは、Q7の絵の中に反射して映っている人物を探す問題ですが、このチームは館内の全ての絵の反射した人物を見付けていました。

これは、本当に良く観ないとわかりません。

ちなみに僕は一つの作品しかないと思って問題を作成したのですが、三点もありました。

さすがですね、観察力があります。


良く発見しました、偉いです。



続きまして、チーム個別問題の二枚目を見ていきましょう。


まずは、4年生の子からです。

 

子供の解答用紙

こちらになります。

頑張って書いています。

展示の感想の部分を見ていきましょう。

「色んな絵を遠くから見たら必ず立体的に見えるから、僕もそういう絵を描いてみたいなぁ~と思った。2019年のもあった。」

この子は本当に良く作品を観察していました。
聞いた所、美術館が好きということだったので、観察しているだけではなく楽しんでいる様子でした。

僕もそういう絵を描いてみたいなぁ~と思ったという所ですが、大丈夫です。

黒猫では、今回にあったような古典技法を学びます。
今から本気で取り組めば、描けるようになります。

最後の「2019年のもあった。」というのは、制作年の事ですね。
キャプション(タイトルや作者が書いている紙)まで観察していたのですね。

偉いです。



続いては、黒猫チーム6年生の回答です。

 

子供の解答用紙子供の解答用紙

こちらになります。
余った時間で、裏面にさっと模写もしてくれています。

展示を観た感想を見ていきましょう。

物が倒れていたり、きちんとしていないからバランスがとれていると。

本当その通りですね、モチーフ同士の距離や配置は、画家が考え抜いて配置しています。

今回の展覧会で観た作品も、鑑賞者に気持ちの良い配置になっていましたね。

良く観察しましたね、偉いです。

最後の一文に注目してみて下さい。

「上手な絵を見て、自分も上手な絵を目指したいです。」

はい、大丈夫です。

一生懸命やっていれば、引くほど上手に描けるようにします。

さて、黒猫チームの順位ですが、1位です。

おめでとうございます!


さて、黒猫チームは、チームワークも一番良かったです。
協力して、課題に取り組んでいる姿が見れました。


ひよこシール10枚獲得です。


同じクラスの生徒様なので、これからも仲良くやって下さい~。

 

まとめ

横浜本牧絵画館のお話だけでも、恐ろしく長くなってしまいました…。

このブログ、過去最大に長いかもしれません。。

もはや絵画教室の講師が書くブログではないだろう、と突っ込みをいれたくなる長さになってしまいました。

ここまでお付き合いいただいた方、本当感謝です。

ひよこシールをあげたいぐらいです。

ありがとうございました。

今年の遠足、いや課外授業はこれで終わりましたが、多分また来年もどこかに行くかもしれないようなしないような…。


その際はまた宜しくお願いします。

僕もとても楽しかったです。


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2019年07月29日