公募展(美術団体)について

 

第44回 現代童画展

現代童画展が近づいてきました。
★詳しくは現代童画展をご覧ください。

 

この機会に、一般の方々にはあまり馴染みがないであろう美術界や公募展(美術団体)について、詳しくご説明させていただけたらと思います。


公募展(美術団体とは)

公募展とは、作品を広く公募し、集まった作品に対しての審査を経た入選作品を一般展示する展覧会の総称です。

大抵は、特定の美術団体が主催している場合が多いです。
審査員もまたその美術団体の構成員です。

会によってですが「会員」になると審査する立場になる美術団体もあれば、「委員」や「常任委員」になって審査する立場になる美術団体もあります。

例えば、僕は「横須賀美術協会」と「現代童画会」の会員ですが、横須賀美術協会の場合は会員から審査に加わり、現代童画会の場合は常任委員と選抜された委員での審査になります。

このように、公募展(美術団体)により審査員の選出は会により様々ですが、構成された審査員にて審査が行われ、「一般」や「会友」の入選した作品と「会員」以上の作品が展示されます。

さて、今出てきた「一般」「会友」「会員」「委員」「常任委員」。

これについて詳しくご説明させていただきます。

 

一般、会友、会員、委員、常任委員について

簡単に言うと美術団体はピラミッド構造になっております。

一般→会友→会員→委員→常任委員といった具合に昇進していきます。
※会によっては会友が無かったり、委員や常任委員が無いケースもあります。

この昇進というのが「推挙」です。
よく「~推挙」とありますが、これは会の方から昇進させますよ、というものです。

では、どうやって昇進していくかですが、

これは、お金を払ってどうにかなるものではありません。

その美術団体の公募展に出品します。
最初は誰もが「一般」です。

賞や何か美術界での活躍などがあると、「一般」から「会友」に昇進します。
※横須賀美術協会のように「会友」が無い美術団体もあります。

これは、作品の良し悪しがほとんどなので、賞を沢山とるような作家なら数年で昇進するでしょうし、作品が力不足なら何十年たっても昇進できません。

出品者は一般の頃から会員を目指して頑張る訳ですが、会員になれなくて辞める人達も沢山います。
そんな厳しい世界です。

しかし、賞や推挙に関しては、正直運の要素もあると思います。

審査員の好みも大いに関係ありますし、ライバルとなるまわりの作品にも左右されますからね。
単純に良い作品を描けば賞や推挙を貰えるかというと必ずしもイエスではない場合もある訳ですね。

例えば、自分の弟子が出品したとしたら、審査の際に票を入れたいでしょう。
人が審査していますから、人情とかも入ってくる事もあるかと思います。
でも、良い作品を描いていれば必ず誰かが観てくれています。

これは、経験上断言出来ます。

これから公募展を目指す人は、自分の表現を精一杯描きましょう。

 

公募展(美術団体)の魅力

一応言及しておきますが、僕が所属している、横須賀美術協会や現代童画会は公募展の中でもフェアな審査だと思います。

実際、僕は横須賀美術協会の審査員ですが、とても厳正な審査が行われています。
審査の様子などはここでは書けませんが、厳正な審査であると言えると思います。

横須賀在住で絵描きを目指している人、さらに画力を高めたい人、是非出品してくださいね。
特に若い方大歓迎です。

そういえば、横須賀美術協会のYB展には毎年横須賀総合高校の美術部が出品しています。
審査の際に、高校生の若々しい絵を観ると嬉しくなります。

しかし、どこの公募展(美術団体)もそうですが、高齢化が進み、若い人が少ないのが現状です。
もちろん、熟練した技や表現力のある作品は勉強になります。
しかし、若い人が極端に少ないのは悩み所です。
これには色々な理由がありまが、若い方からすると昔よりも公募展(美術団体)に魅力が無くなってしまったのかもしれません。

先日、無所属でどこの公募展にも出品していない美大生に聞いてみました。

そうしたら「気を使いたくない」と言っていました。
思わず笑ってしまいましたが、なるほどそれは確かにそうだよなと。

そう思われるのは、現状の公募展(美術団体)をみるとある意味で仕方の無い事だと思います。
僕も昔は上の方にとても気を使って接していた記憶があります。

あ、いや今でも気を使っています。
会員になっても気を使う。
そういうのは、確かに楽しくなさそうです。

自分の好きなように自由に絵を描いて発表するのが、1番楽で楽しいですもんね。

無所属で絵を描いていても全然良いと思います。
しかし、無所属だと独りよがりな作品になる事もありますよね。
作品に関して、ある程度良くも悪くも、あーだこーだ言われる環境は絵描きにとってはプラスになると僕は感じます。

僕が美術団体に属して1番良かったなと思う所は、「画力向上」かなと思います。
公募展はコンクールですからね、毎年審査の目にさらされます。

その結果、本気でやっていればおのずと画力は上がりますし、表現の幅も増えます。

仲良くなれば、会員などの助言も聞けると思います。

でも、これは人によっては公募展(美術団体)のメリットでもあるし、デメリットでもあるんだと思います。
同じ事を言われても人によって感じ方も違いますしね。

美術というのはある一定のラインを越えると、答えはひとつでは無くなります。
人によって言うことも違ってくる訳です。
「あの先生はこう言っていたけれど、この先生はこう言っている」とか。

なので、納得する部分はちゃんと受け入れて、そうでなければ気にしなくて大丈夫です(聞いているふりはしてくださいね。)

ちなみに、僕は良い先輩方に恵まれて、あまりうるさく言われずここまで来ました。
むしろ先輩方の助言は成長させてくれたと感じています。

色々書きましたが、公募展(美術団体)に出品するのを悩んでいたら、とりあえず出品してみるのも良いと思います。

そこから新しい道が見える事もありますから。
少なくとも、入選すればあなたの作品を沢山の人が観てくれます。

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2018年11月07日