こんにちは黒猫の美術教室です。
また、随分とお久しぶりになりました。
最近は額縁作りをしてまして、そちらに集中しておりました。
絵を描く人なら、大多数の人が額縁を作りたいと考えるものではないでしょうか。
僕も前々からそう思ってはいたのですが、色々と難しく実行できずにいました。
家がアトリエなのですが、さすがに木材を加工するような広い空間はありません。
なので、まずは作業場所の確保からとなり、色々と苦戦しました。
最終的に庭を改造して、半分外の作業場所を確保。手作りなので、見た目は不格好ですが作業で使用するには十分。
四六時中、集中して取り組んでいたので、最近ようやく納得出来る額縁が作れるようになってきましたよ。
そもそも、なんで額縁を作り始めたかというと、、。
それは【縁の構造に不満があったから】です。
引用元:世界堂
額縁の構造です↑
世界堂さんの画像がわかりやすかったので画像お借り致します。
額縁の内部構造は基本こうなってます。
絵が面金(ライナー)に乗ってアクリル板もしくはガラスを押さえます。
世の中にある額縁はこうなっているのですが、これだと絵と額縁が接触する場所がありますね。
地球には重力がありますから仕方の無い事ですが、絵と面金の接触は絵にとっていいものとは言えません。
極論を言ってしまうと、絵は何とも接触しないのが理想ですよね。
ずっとこう考えていました。
そんな中、国立新美術館にメトロポリタン美術館展を見に行ったところ、そこで目にした額縁に衝撃を受けたんです。
絵と額縁接触してなくない?
実際にその作品を額縁から出して見れた訳ではないので確かな事は分かりませんが、その時に絵と額縁を接触させずに額装する構造を思い付きました。
思い付いたまでは良いんですが、世の中に無いものですので自分で作らなきゃいけないじゃないですか。
普通の人はそこで諦めると思うんですが、僕は腐っても芸術家の端くれですので、思い付いたなら実現させなきゃいけません。感じた事を諦めるのは不可能なのです。
と、いう事で額縁制作修業を開始。今年の2月くらいの事です。
目標は、絵と額縁が接触しない額縁を作る事。また、面構は僕が唯一信用している茨城の額職人、森田さんのクオリティに近づく事。森田さんの額縁は本当に素晴らしいんです。
しかし、額縁作りは何気に難易度が高いですね。
実際にやってみて思い知らされます。
恐らく皆が悩む部分であり、ハードルを上げているのは木材を45℃に正確にカットする技術でしょう。
精度を出そうとすると、これが一番、本当に難しい。若干ずれるんですよね。
僕もこの精度を上げるまでかなり苦労しました。
あとは、正確な直線カットです。
900ミリ程度の直線カットは1ミリ以下の誤差でカットしたいところです。この辺もまぁコツをつかむのに時間がかかりました。
でも、ほら皆様知っての通り僕の創作に関してのこだわりは変態レベルです。
納得するまでは、何が何でもやります。
そのお陰か、練習にかなり時間がかかりましたが、今はかなりの精度でカットできるようになりましたよ。
もう丸ノコやトリマーとお友達です。
無事に絵と額縁が一切接触しない額縁を作れるようになりました。
いずれ皆様にも自作の額縁見ていただけましたら幸いです。
この額縁の構造はメトロポリタン丸山方式として特許とりましょうかね。
さて、お待たせしました。
額縁のお話はここまでにして、ここからは教室の皆の頑張ったお話をしていきます。
グリザイユ→固有色→具象絵画の流れの取り組みです。
出来るようになった子が増えてきましたの撮影できた子を一挙ご紹介します。
因みに皆グリザイユ、固有色、具象絵画と、順番に違う紙に描いています。同じ支持体に描けばお金余分にかからないじゃん~と思うかもしれませんが、理解度を深めるためにそうしてます。
そもそもグリザイユ?固有色?具象絵画?といった方は↓を見ていただくと分かると思います。
さて、改めてこれを見ている大人の皆様。
これ本当に難しいですからね。特に三段階目の具象絵画。
デッサンを考えながら固有色も考えて、それを頭の中で組み合わせて、それを筆と絵の具で表現しなきゃいけないんです。描けるのは本当にすごい事です。
あと、全員が終わっている訳ではなく、まだ制作中の子もいます。
このブログ見て気になるかもしれないですが、そこは気にしないで下さい。
時間がかかるのは当然だし、ゆっくり練習すれば良いです。
今回紹介する子達だって教室に来てくれて長い子が多いし、皆最初は下手だったから。
あと、僕がこれらを覚えたのは18歳ですからね。
皆はまだ小中高生です。ただでさえ英才教育なんだから生き急がなくて大丈夫。ゆっくりやればいいかと。
成果
基本、グリザイユ→固有色→具象絵画(グリザイユと固有色を組み合わせたもの)の順番で載せます。また、この3つを組み合わせた式も載せておきます。
コメントは全部にする訳ではなく、ちょいちょいコメントしますね。
尚、ここに載る子達は具象絵画の描き方を頭で理解できていて、さらにそれを表現する技術も備わったと考えて大丈夫です。
具象絵画を描くならモチーフが何であれ、何を描くにもこの考え方で描けます。良かったですね。
ここから先はその精度だけです。
僕も常にこの考え、見方でお絵描きしています。
要はその精度を死ぬほど上げたのが僕だとお考え下さいませ。
では、みていきましょう。まずは小学校5年生。
グリザイユ。
この子は、大胆な筆使いで繊細な表現がずっと出来ませんでした。
でも、突然出来るようになりましたよ。転機は筆を変えたこと。筆を無くしてしまったそうで、持っている筆が1本しかなく、それもかなり年季のはいった筆だったため、教室の筆を使ってもらったところ急にスムーズに描けるようになりました。
筆が消耗していたら、新しいものにしましょう。ナイロン等(動物毛以外)のアクリル画対応の筆が良いですよ。
固有色。
色も見えます。
具象絵画。
上手ですよね。
まずは、鉛筆でのグラデーションを習得して、それから筆でのグラデーション、繊細な筆使いが出来るようになってきました。
教室へ来てもう4年かな?時間がかかるものなのです。
最近では、頼んでもないのに自信がついたのか他の子に教えてくれたりしてます。ありがとうね。
画力の成長具合がとてもいい感じです。
助手いわく鉛筆のグラデに関しては、教室でトップクラスとの事。早くから、本人がグラデーションに自信がついたのも良かったみたいです。
確かに上手です。
続いては小学校6年生。この子はなんか画像が沢山あったので本人嫌かもですが皆様の参考になると思いますので全部載せときますね。
グリザイユ。
この子も繊細な筆使いの習得に苦労しましたね。小学生はみんなこんな感じです。
何度も、何度も描いて。
忍耐強く頑張れるのが強みです。
偉いですよね。
回を重ねるにつれて上手くなっていってます。落書きが可愛いです。
固有色。
具象絵画。
ここまで繊細な表現が出来るようになって、なんか感慨深いです。
あとこの子、クロッキーも上手くなりましたよ。意外にもクロッキーの素質がありました。前の子同様上手になりましたが、2人の共通点は楽しく学んでることなのかもしれません。
教室の内容は多分辛いと思うんですが、喋りながら楽しく描いてきたのであんまり苦痛にならずに学べたのでしょう。
本人達の性格も大きいでしょう。
【いつのまにか描けるようになったいた】
この感じが僕の理想だったりします。
だって辛い思いをせずに楽しく絵が上手になったら1番良いんですよね。
全てを捨てて苦しみながら学びました。まさにそれは地獄。師匠も怖かったしね。
でも皆はそれを子供のうちに、しかも楽しく学べます。(本人次第ではありますが。)
親に感謝しましょう。皆の好きなものにお金と時間を使ってくれる理解のあるお父さんお母さんです。
続いても6年生。
こちらの子も上の子2人同様楽しく描いてる印象。
グリザイユ。
固有色。
具象絵画。みんなそうですが、この子は特に褒めると頑張るのでものすごく褒めるようにしてます。
後ろの黒猫も素敵だね。
上手に描けています。
さて続いても6年生。
この子はもうすぐ描けるようになりますので、載せときます。
グリザイユ。
固有色。
具象絵画。
もう考え方はバッチリなんで、あとは絵の具と水と支持体のバランスを覚えるだけです。あと数回練習すれば出来るようになりそうです。
ここからは中学校1年生。
少し精度が上がります。
グリザイユ。
固有色。
具象絵画。難しい構図ですが、上手に描けていますよね。
次も中学校1年生。
グリザイユ。
固有色。
具象絵画。
筆上手いです。
次が中学校1生最後です。モチーフはアヒルじゃありません。
グリザイユ。
固有色。
具象絵画。
次は中学校2年生
EXILE。
間違えました。グリザイユ。
固有色。
具象画。
次も中学校2年生。
グリザイユ。
固有色。色がめちゃめちゃ見える子です。色の識別能力は黒猫の美術教室3本の指に入るでしょう。
具象絵画。
次は中学校3年生。ちょっと疲れたので次で最後にします。
グリザイユ。
固有色。
具象絵画。頭の上の光の描き方が僕っぽい。
まとめ
あと、もうちょいでクリア出来そうな子もいます。
少しずつです。
保護者様、知っているでしょうが指導に関しまして多分僕は劇甘です。
出来なくて怒るような事はまずありません。(描かなくて怒ることはあります)
なので、上達まで時間かかります。宿題も出さないし。
けど、少しずつ出来るようになってるんで。
信じていただけましたら幸いでございます。
年齢も習っている年数も、どこまで突き詰めて頑張るかも個々で違うので、どうか周りを気にするのではなく、自分自身の成長に着目してください。
小学生の子で、上手くいかなかったからもう一度描きたいと何度も頑張っている子もいます。そういった気持ちの子は本当に凄いなと思います。何度もやり直すのは大人でも辛い作業なのに、なかなか出来ないこと。子供ですが尊敬しますね。
そういう努力をしている子は必ず伸びます。
そういえば、最近市外や東京都内から黒猫の美術教室へ通ってくれている子が増えてきました。
わざわざ横須賀の辺境の地、逸見へ。
これらを踏まえて一層心構えを持って指導しなければいけません。
と、いっても僕は少し砕けているぐらいがベストパフォーマンスを発揮できますので、程よく力を抜いて皆と接する事ができるように努めていきたいと思います。