タロットカード制作

この度、タロットカードの「魔術師」を描くことになりました。

5月に行われる展覧会での企画で、作家22人が 計22枚のタロットカードの絵を1枚ずつ担当して描き、それをカードにするというものです。
作品は展示販売され、タロットカードも販売されるそうです。

僕が描くのは「魔術師」のカードです。

お恥ずかしい話ですが、この話をいただくまでタロットカードの事をよく知りませんでした。
当然、存在は知っていましたが、全部で何枚あるのか?、カードの種類は?等、全くわかりませんでした。
まずは知識を入れようと、タロットカードについて調べるところから始めました。

あ、ごめんなさい。
また教室とは関係のないブログです。
ですが、僕の描いた「魔術師」の絵も載せていますので、ご興味のある方はどうかご覧ください。
よろしくお願いいたします。

 


 

目次

 

1.タロットカードとは

 

2.タロットカード 大アルカナ全22種類ご紹介

 

3.何を描こう…

 

4.魔術師制作

 

5.魔術師完成

 


 

 

タロットカードとは

困った時のWikipediaで早速調べてみました。

タロットカードは、遊戯や占い(タロット占い)などに使用されるカードのこと。78枚1組がもっとも一般的で、その内訳は1から10までの数札、4枚の人物札をスートとした4スート56枚の小アルカナと、寓意画が描かれた22枚の大アルカナに分けられる。

日本では、小アルカナは大アルカナに比べ比較的認知度が低く、一般語のタロットは大アルカナのみを指す場合が多い。
Wikipedia参照

…大あるかな?小あるかな?すーと?

…えぇと、まぁつまりタロットカードは大アルカナと小アルカナという種類がある訳ですね。

スートとは小アルカナにあるマークの事みたいです。
杖・杯・剣・硬貨の4種類があるみたいですね。
トランプのクローバー・ダイヤ・ハート・スペードのようなものだと理解しておきましょう。

小アルカナが56枚、大アルカナが22枚あるけども日本では小アルカナの知名度があまり無いので、タロットカードというと大アルカナの22枚を指す事が多いという事ですね。

なるほど。

今回のお仕事も22枚作るという事なので、大アルカナのみのタロットカードを作るのでしょう。

 

タロットカード 大アルカナ全22種類ご紹介

今回「魔術師」を制作するにあたって、制作のお供に色々資料をいただきました。

 

頂いた資料から、大アルカナ22枚をご紹介致します。


 

 

【0 愚者(Fool)】自由、型にはまらない、無邪気、可能性、発想力、天才、チャレンジすること(ただし、慎重に)→旅立つ男、新しい世界ただし足元は崖なので気を付けて。


【1 魔術師(Magician)】起源、可能性、機会、才能、チャンス、感覚、創造、何かを始めること、自分の才覚で行う事、創意工夫→道具を全て揃えた魔術師が自分の魔術を行おうとしている。


【2 女皇帝(HIgh Priestess)】直観、知性、安心、満足、期待、聡明、雰囲気、始めての恋→高貴で知的な女性、または恋の指南書を読む少女。

 

【3 女帝(Enpress)】繁栄、豊穣、母権、愛情、情熱、豊満、包容力、女性的魅力、家庭の形成、力ある女性→母性豊かな女性が治める様子。

 

【4 皇帝(Emperor)】支配、安定、成就、達成、男性的、権威、行動力、意志、責任感の強さ→力強く、公正な権威ある男性が治める様子。

 

【5 教帝(hierophant)】慈悲、連帯、協調性、信頼、尊敬、優しさ、思いやり、自信、規律、正しい事を行う→慈悲と知性で人々を教え導く男性。

 

【6 恋人(Lovers)】自分への信頼、価値観の確立、情熱、共感、選択、絆、深い結び付き、結婚、誘惑と戦う、愛情→恋人同士が太陽の下で2人一緒にいられることを喜ぶ様子。


【7 戦車(Chariot)】勝利、服従、援軍、行動力、成功、積極的、突進力、開拓精神、独立、解放、体力無限大、負けず嫌い、視野の拡大、ゾーンの発動、優勢→凱旋する勇者。


【8 正義(Jastis)】公平、公正、善行、均衡、誠意、善意、両立、正しい行い、正義の女神が正しい行いを行っている様子、天秤座に関係あるとも。


【9 隠者(Hermit)】経験則、高尚な助言、秘匿、精神、慎重、優越感、思慮深い、思いやりに、単独行動、神出鬼没、変幻自在、自分の内面を見つめる事→世の中から離れ、思索にふける者、静かに考える姿。


【10 運命の輪(Wheel of Fortune)】転換点、幸運の到来、チャンス、変化、結果、出会い、解決、定められた運命→運命によって回される輪によって、良い事と悪い事が繰り返し変化していく。


【11 力(strength)】力量の大きさ、強固な意思、不撓不屈、理性、自制、実行力、知恵、勇気、冷静、持久戦、潜在能力の引き出し→たおやかな女性がライオンを手懐ける。獅子座のイメージ、人知を超えた力のイメージ。


【12 吊るされた男(Hanged Man)】修行、忍耐、奉仕、努力、試練、着実、抑制、妥協、献身的→北米神話の主神オーディンが世界樹ユグドラシルに9日間ぶら下がり、世界の秘密を知る知恵を授かった姿とも。何かを犠牲にして何かを得るという暗示も。


【13 死神(Death)】停止、終末、破滅、離散、結局、精算、決着、終焉、死の予兆、ゲームオーバー、風前の灯火、全てが終わり新しく始める事→実りを前に大鎌で刈り取ろうとする姿が描かれる事も。そこから何かの終わりと始まりという意味を読む事も。


【14 節制(Temparene)】調和、自制、節度、献身、2つのものを均等にする事、古いものを新しいものに入れ替える→2つの入れ物に天使が空中で液体を入れ替えている姿で描かれる事もあり、古いものと新しいものを調和させる、入れ替える、という読み方も。


【15 悪魔(Devil)】執着、束縛、拘束、誘惑、破天荒、悪循環、恨み、根に持つ、破滅、こだわり→2人の男女が鎖に繋がれ、悪魔につかまっている姿。でも、完全につかまっているのでなく、緩く縛られているので、逃げ出そうと決めれば逃げ出せる状況である。


【16 塔(Tower)】崩壊、突然の中断、権威の崩壊→出口の無い、頑丈な塔が天の雷で打ち砕かれている姿、バベルの塔、これまでの常識が一新する、というイメージもある。


【17 星(Star)】希望、閃き、願いが叶う、愛情を注ぐ→空に星が輝き、池に水を注ぐ女性、水瓶座のイメージもある。


【18 月(Moon)】不安、曖昧模糊、不安定、幻惑、現実逃避、考え込む→逆位置ではっきりしてくる、というイメージがあるので、正位置ではっきりしない、霧のかかった状況といった意味を持つ。手前のザリガニが星座絵の蟹座に似ているので、蟹座と関係あるとも(月も蟹座に関係がある)。


【19 太陽(Sun)】成功、誕生、子供、約束された未来、祝福→双子の姿で描かれる事から双子座に関係あるとも。世界を照らす太陽のイメージから成功や明るい未来のイメージがある。


【20 審判(Judgement)】復活、結果、改善、覚醒、発展、敗者復活→聖書にかかれた死者の復活のイメージ。大天使ガブリエルの吹くラッパの音で、復活を遂げる人物。これまで失敗に終わったものが再びチャレンジする事で成功出来るかもしれないというイメージ。


【21 世界(World)】成就、完成、完全、完遂、完璧、攻略、優勝、パーフェクト、congratulation、good ending、完全制覇、完全攻略、正確無比、永遠不滅→世界の中心で踊る美しい女性の姿が描かれ


なんとなく聞いた事があるものもあれば、全く知らないものもありますね。
僕が描くのは魔術師なので、割りとメジャーな方なのだと思います。
1番ですしね。

 

何を描こう…

実際に魔術師を描くにあたり色々悩みました。
魔術師というと、すぐに想像するのはフード着きのローブを着て杖を持ってる姿でしょうか。

僕もまずそれを想像しました。

しかし、それだと良くあるつまらない絵になりそうです。
やはり、僕にしか描けない魔術師を描くべきです。

あれこれ悩みながら鉛筆をくるくる回す事、数時間。。

ふと、子供の頃の記憶を思い出しました。

洗礼者ヨハネ

レオナルド・ダヴィンチの「洗礼者ヨハネ」。

この作品、どこか不気味で、子供の頃怖かった記憶を思い出しました。

この怖い感情はどこからくるのか、子供の頃は分かりませんでしたが、今ならはっきり分かります。

「手」です。

このダヴィンチの描いた手。
当然物凄く上手いのですが、どこか不気味に感じます。

この「不気味さ」を、「魔術師」で表現しようと思いました。

手は顔以上に表情が出るもので、皆様見慣れているものですね。

また、これを非現実的な「魔術師」のモチーフにする事で面白い事が起きるんじゃないかな…と思った訳です。

そこからクロッキー帳に何度もデッサンをして、大体のイメージを固めていきます。

手を描いていると、修行時代を思い出します。

ひたすら自分の手を描いていたあの頃。
「右手を見ながら左手を描けるようにならないと駄目だよ」と言われ、混乱しながら毎日描いていました。

手は一番身近なモチーフですからね、お金もかからないし手軽に描けるので、デッサンを学んでる方には、モチーフとしておすすめです。

さて、イメージが固まったので実際に描いてみましょう。

 

魔術師制作

今回は指を光らせます。

魔法(魔術)を指から出している絵になります。
あと、「紫」を使いたいなと思いました。

「紫」は、なかなか難しい色で、使い方を間違うと、いやらしい絵になります。
品が無くなるというか、紫を上手く使うのはとても難しいです。

実際、僕も自分の絵ではほとんど紫は使いません。

使ったとしても、青よりの紫です。

絵を描かれる方、特に赤よりの紫は難しいので、使う際はご注意下さいね。

今回は魔術師ですからね、このいやらしさを少し入れたいと思います。
使い過ぎず、品良くギリギリの部分まで使いたいと思います。

 

魔術師完成

絵画作品

完成した「魔術師」です。
F8号(455×380)で板にアクリルで描きました。

不気味です。
怖くて家には飾れません。

モデルの手は僕ではありません。
少し手荒れ(ごめんなさい)のある女性の手です。
魔術師にはいいかなとあえて、モデルにさせていただきました。

今回久しぶりに手を描きましたが、とても楽しかったので、また手を描くかもしれません。

実際に展示販売をする展覧会は、5月に銀座で行われます。

また時期が近くなったらお知らせしたいと思いますので、宜しくお願い致します。

 

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2019年01月24日