木製パネルの作り方

こんにちは、黒猫の図書館です。

忘れた頃に投稿する黒猫の図書館でございます。
今回は「木製パネルの作り方」と題しまして、とても丈夫なシナベニヤパネルの作り方をご紹介していきます。


目次

1.はじめに

2.必要な道具と材料

3.工程1 カット

4.工程2 シナベニヤ合板と残の接着

5.工程3 中残の相欠き継ぎ

6.治具

7.工程4 誤差修正

8.工程5 ジョイントカッター

9.工程6 ビスケット

10.最後に


はじめに

このページをご覧いただけているということは、あなたは木製パネル難民ということでしょう。

そう。
これだけネットが浸透した世の中でも、まともな絵画作成のノウハウを学べる良質なコンテンツは存在しません。
そこで、きちんとした、完璧な木製パネルの作り方を残しておく必要があると感じましたのでここに残しておきます。

ここに記載するノウハウをお使いいただけると±0の精度で頑丈な木製パネルを作れます。
僕の近くにいない方は、是非このページをご活用いただけましたら幸いです。


しかし、作るには覚える事も多いですし、金銭面もかなりかかりますので、ある程度の覚悟が必要になります。
どうしても市販の木製パネルでは満足できないあなたに向けて書きます。
市販のもので十分な方はブラウザバックです。

必要な道具と材料

まずは必要な道具と材料を簡単な説明と共にご紹介致します。
基本的には僕が使用して、おすすめできるものを載せております。

道具

①丸のこorスタンド丸のこ

丸のことスタンド丸のこ

木材をカットする道具です。
丸のこでも可能ですが、出来ればスタンド丸のこをご使用された方が良いです。精度に大きな差が出てきます。

ざっくりですが、丸のこは±1〜2程度の精度、スタンド丸のこは±0の精度で切れます。因みに僕は最初丸のこを使っていましたが、精度に納得出来ずにスタンド丸のこを購入致しました。
どうせ買い直すぐらいなら、最初からスタンド丸のこを購入するのもありかと思います。
しかし、いかんせん高額なものですので、お財布事情と照らし合わせた上でご判断いただけましたら幸いです。

②トリマーとビット(ベアリング付きストレートビット)

トリマー

木材を加工する道具です。掘ったり、削ったり、ビットを交換すると色々なものが作れます。
今回パネル作りに使うビットは、画像右にあるベアリング付きストレートビットというものです。
こちらも合わせてご用意下さい。

 

③ジョイントカッター

ジョイントカッター

 

溝加工するのに使います。
溝加工をすると目違いを無くし、より強固なパネルになります。絶対無くてはいけないものではないですが、良い作品を良い形で残したい方はご用意下さい。

 

④ビスケット

ビスケット

 

ジョイントカッターでカットした部分に差し込むビスケットになります。
大きさは3種類ありますが、1番大きい20をご用意いただくのをおすすめ致します。大は小を兼ねます。

 

⑤ボンド(耐水性のもの)

ボンド

耐水性のボンドをご用意下さい。おすすめはゴリラボンド。強度が高いです。

 

⑥定規

定規

正確なものをご用意下さい。
STAEDTLER製の962シリーズがおすすめ。使いやすくて精度が高いです。

⑦止型定規

止型定規

45度、90度をケガく際に使用します。シンワ製がおすすめ。

 

⑧完全スコヤ、止水スコヤ

スコヤ

普通のスコヤと止水スコヤ両方あると良いでしょう。シンワ製がおすすめ。

 

⑨ヘラ

ヘラ

 

どんなものでもいいですが、先が平たい形と尖ってる形の2種類あると便利です。

⑩クランプ

クランプ

木材を固定したり、圧着したりするのに使用します。
画像左SK11 伸縮式ロックハンドクランプと画像右Takagi Cクランプが使いやすくておすすめです。

 

材料

加工する木材のご紹介です。

①シナベニヤ合板(共芯)

シナベニヤ

合板とは写真のように薄い板をミルフィーユのように重ねたものを指します。

普通の絵画パネルは良くて普通のシナベニヤ合板を使います。
シナベニヤ合板は表面と裏面のみシナベニヤを使用し、中にはラワン等の安価な板を挟み込んだものを指します。
ラワンは安価ですが、アクが出やすく絵の安全性には問題があると僕は感じます。

一方、共芯のシナベニヤ合板は中まで全部シナベニヤ板を使用しているものになります。共芯のシナベニヤ合板は小口が綺麗であり、木材のアクも出にくく、反りにくい。でも、その分値段が高いです。

市販のパネルで共芯のパネルはまず存在しないでしょう。しかし、今回は「究極のパネル」を作る為に共芯のシナベニヤ合板を使います。

 

②桧 集成材

桧材

桟には桧の集成材を使用します。

桧は丈夫で反りにくく、防虫性にも優れております。
手に入りやすく、値段もそこまでは高くないので(高級木材に比べて)おすすめです。
比較的硬めな木材ですが、加工性には問題なくサクサク切れます。

今回は桟を全て桧を使いパネルにしていきます。

 

工程1 カット

道具が揃いましたら、いよいよ木材をカットして行きます。
今回は、200×300×38のパネルを作成致します。

サイズと厚さは自由ですので、必要なお好きなサイズで作成して下さい。

シナベニヤ

まずはスタンド丸のこで、シナベニヤ合板を200×300にカット。
ここはなるべく精度を出しましょう。±0が難しい場合は±1で大きく切って下さい。
小さく切るのは駄目です。

例…199☓ 201○

シナベニヤ

カットできましたら、絵を描く面に傷や汚れがつかないように、同じサイズの合板を用意して絵を描く面に重ねて、側面をマスキングテープで貼り合わせて保護しましょう。
こういった細かい作業が大切になります。

45度カット

次は桟のカットです。45度でのカットになります。
あらかじめ止水スコヤで墨付け(目安線)をしておきましょう。

ここも、まずは大きめにカットして下さい。大きい分には後でいくらでも調整できるので、大きい方に+1ミリを意識してカットしましょう。

45度カット

こんな感じ。

仮止め

先程カットしたシナベニヤ合板に乗せてみましょう。
両面テープで仮止めしてサイズ確認です。

どうやら0.5ミリ残が大きいようです。

スタンド丸のこで削ります。
刃に添わせてカットすることで、微調整できます。

シナベニヤと桧

ぴったりになりました。

工程 2 シナベニヤ合板と桟の接着

シナベニヤ合板と、桟を耐水ボンドで接着します。
完璧に止める為にボンドはなるべく沢山付けて下さい。

シナベニヤ合板と残の接着

クランプで固定します。
シナベニヤ合板と桟に直接クランプしますと、傷が付く可能性がありますので中に捨て板をかませましょう。 
はみ出したボンドはヘラで取ります。

固まるまで1日放置です。

工程3 中桟の相欠き継ぎ

相欠き継ぎ

次は中に入れる残を作成します。
今回はより強固なものを作成するために相欠き継ぎで作ります。
複雑で難しそうですが、大丈夫。やり方さえ分かれば簡単です。 

シナベニヤパネル

先程接着したパネルをご用意しましょう。

計測

縦横内側の長さを正確に測って下さい。
測れましたら、前々項で使用した桟と同じサイズの木材を用意します。
先程測った長さにカットします。

このあと45度カットをしますのでここでは適当でおkです。

シナベニヤパネルと桟

こんな感じ。


次にかませる部分の場所を決めます。

短手の長さが140mmで使用している角材が厚さ30mmの木材です。
掘る位置は140mmの中心の70mmになります。中心から左右に15mmが掘る位置です。深さも15mm。

さらに正確な位置を決める為に端からの長さからも計算しておきます。
計算方法は(長さー幅)÷2=端から相欠き継ぎまでの位置になります。

式にはめると(140mm−30mm)÷2=55mm。
となり、端から55mmが相欠き継ぎの掘る位置となります。

※数字の部分は皆様がお使いの木材の数字をはめて下さい。

相欠き継ぎ

表面、側面(両側)にガイド用に材の縦に中心に墨付けをしておきます。
表面のガイド線は合わせる時の目安に、側面のガイド線は掘る深さの目安になります。

相欠き継ぎ

次に掘る位置左右に角材が15ミリずつの場所に印をつけます。
その印を止型定規で側面まで墨付けをしましょう。

相欠き継ぎ

こんな感じです。

相欠き継ぎ

長手桟、短手桟の両方に墨付けをしましょう。

相欠き継ぎ

ここから穴を空ける作業に入ります。
まずは墨入れの若干内側、深さの若干内側に設定してざっくり切っていきます。
スタンド丸のこだとこれがかなり楽です。

相欠き継ぎ

こんな感じです。必ず墨付け線の内側になるようにカットして下さい。

相欠き継ぎ

まとめて長手桟、短手桟にざっくりカットをします。

治具

ここからはトリマーを使いカット面を綺麗にしていきますが、その前に画像のような木材をご用意下さい。
左はトリマーを安定させるための木材、右は側面を削りすぎないようにするための木材です。

相欠き継ぎ

画像のように両面テープで接着して下さい。

相欠き継ぎ

ストレートビットの深さを調整して掘っていきます。
角度をつけないようにトリマーをゆっくりと進めます。トリマーは自分に向かって使用すると危険ですので、必ず自分とは反対方向に進むように使用して下さい。

相欠き継ぎ

こんな感じになります。

相欠き継ぎ

他の桟にもトリマーを使い。掘っていきましょう。

相欠き継ぎ

綺麗に出来ました。

相欠き継ぎ

合わせてみましょう。

相欠き継ぎ

完璧ですね。

相欠き継ぎ

工程2のパネルに中桟を入れる場所に印をつけ、印が合わさるように接着していきます。
ボンドは多めにつけましょう。はみ出したボンドをヘラで丁寧に取ります。

相欠き継ぎ

印同士が合うようにクランプと桟の間に板をかませて圧着して下さい。
クランプするとさらにボンドがはみ出してくるので、ここでも丁寧に取り除きます。

一日放置です。

 

治具

放置している間に治具を作成しましょう。

治具とは加工、工作、組み立ての固定、案内、制御をする装置の事を指します。
主に、以上の目的の為に、自身で作成した装置の事を指す場合が多いです。

今回は、作成する治具は今後の工程4と工程5の作業を快適にするための治具です。
と、いってもそんなたいしたものではなく90°が出ていれば問題ありませんので、気軽に作成しましょう

治具

こんな感じです。
工程4のシナベニヤと桟の若干の誤差をストレートビットで削る際に安定させる為、工程5のジョイントカッター使用の際に安定させる為の治具です。

パネルの縦、横より若干短い四角になるように作成しました。それぞれの角が90°になっていることを確認しましょう。

工程4 誤差修正

どれだけ正確に測定しても、かならず誤差は出てきます。今回作成したパネルもシナベニヤと桟に0.3ミリ程度の誤差がありました。

気にしない人も多いと思いますが、今回は【完璧なパネル】を作成致しますので、誤差を無くしましょう。

シナベニヤパネル

前項で作成した治具にパネルを乗せます。
こちらの治具は、トリマーで作業する為の若干飛び出している設計にしています。

トリマー

パネルのサイズを変えたくないので、絵画面を上にして作業します。角度をつけないように真っ直ぐにトリマーを進めて下さい。
ここは、ちょっと技術がいります。

トリマー

こんな感じ。

トリマー

ビットの長さを調整して下の部分も削ります。

トリマー

こんな感じです。綺麗に揃いました。
この作業を側面4面に行いましょう。

工程5 ジョイントカッター

ジョイントカッターで溝加工をします。

溝加工をすることにより。反りを防止、目違いを無くし、より強固なパネルとします。
何度も書きますが普通はここまでやりません。しかし今回は【完璧なパネル】を作るのです。

計測

ジョイントカッターは設計上右を削りすぎてしまうので16.5ミリの箇所に捨て板をかませて加工します。

シナベニヤパネル

こんな感じです。

ジョイントカッター

今回はコーナー2か所の溝加工をします。
完全スコヤを使い、ジョイントカッターの高さ調整をします。
調整が出来ましたら、溝をあけてみましょう。腰を使いまっすぐに押し出すイメージで。

ジョイントカッター 溝加工

こんな感じ。
それぞれのコーナー4か所に溝を空けます。

ジョイントカッター

さらに空けた溝の下に溝を空けます。先程と同じように完全スコヤを使い、高さ調整をしましょう。

ジョイントカッター 溝加工

こんな感じ。
同じ要領でそれぞれのコーナーに溝を空けましょう。

工程6 ビスケット

いよいよ最後の工程です。工程5で空けた溝にビスケットを差し込みます。

溝加工 ビスケット

溝とビスケット両方にボンドをつけビスケットを差し込みます。
ボンドは多めにつけましょう。はみ出したボンドは丁寧に取ります。

溝加工 ビスケット

全ての溝にビスケットを差し込みます。
ボンドを乾かすため一日放置です。

溝加工 ビスケット

乾きました。ここからはみ出している部分をカットしていきます。

溝加工 ビスケット

スタンド丸のこでざっくりカットしましょう。

溝加工 ビスケット

こんな感じ。四隅全てカットしましょう。

シナベニヤパネルと治具

カット出来たら、前々項で作成した治具にセットして、トリマー加工します。

トリマー

角度をつけずにまっすぐトリマーで削ります。進行方向が自分とは反対方向になるようにします。

トリマー

こんな感じ。

溝加工 ビスケット

四隅全て加工します。

パテ

必要があればパテで穴を埋めて下さい。

シナベニヤパネル

完成です。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。

パネルを自作したい猛者は是非このブログをご参考にチャレンジしていただけましたら幸いです。しかし、今回使用した工具は正しい使い方をしないと危険なものが多いです。
十分に注意して作業して下さい。

 

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