発達障害・グレーゾーンについて

黒猫

こんにちは、黒猫の美術教室です。

今回は、非常にセンシティブな問題、発達障害・グレーゾーンについて話したいと思います。
今までずっと逃げて、避けてきた問題ですが、僕は常に教室全体を考えなければいけません。
教室を運営している上で、避けては通れない議題です。

「しょうがい」の表記について、地方自治体では「障がい」と表記する例が増えているとのことですが、このブログでは、文部科学省の表記に習い、「障害」と記載させていただきます。



「美術」という分野には、発達障害・グレーゾーンの方が集まりやすい傾向にあります。
デフォルトで、うちの教室はそのような特性を持つ子供が集まりやすいです。
集まりやすいというだけでなく、何もお知らせしてくれずに来るケースが多いことが難題です。

知らされていないことでの影響はとても大きく、その子への適切な指導を行うことができない可能性が高くなるので、その子にとって良いことは一つもないと思っています。

学校、習い事を含め、子供に指導している立場の人は少なからず直面しなければならない事柄です。
非常に難しい問題でもあるので、長年どう向き合えば良いのか、本当に悩みに悩んだ内容です。

ようやくこのような形で、皆様に発信する機会をつくることができました。
上手く伝えらているか、お願いができるかは分かりませんが、誠心誠意書いてみたいと思います。
不快に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、どうかご理解の程よろしくお願いいたします。

尚、HPの入会案内にこの内容を追加いたしますので、これから黒猫の美術教室へ入会考えている方は、必ずご一読いただき、ご理解いただいた上でお問い合わせいただけますようよろしくお願いいたします。

※現在、全てのクラス満員の為体験を休止しておりますが、ご予約は可能です。
ご予約いただいた順にご案内しております。欠員が出次第のご案内となりますので、長期間お待たせしてしまう可能性もございますのでご了承ください。

長文となりますが、最後までお読みいただけましたら幸いです。

素人ではないがプロでもない

最近はグレーゾーンと呼ばれてるようですが、僕が子供の頃はそういった言葉は無かったし、特に意識もしていませんでした。

今思い返すと、当時、コミュニケーションが苦手だったり、身の回りの整理整頓が出来なくて、机の中からしわしわのプリントや給食のパンが出てくる子もいました。性格の部分もあるので、確実ではありませんが、あの子達はきっと何等かの発達障害を抱えていたのかもしれません。


さて、まずは僕が障害児童について素人ではないが、プロでもないについてお話いたします。

皆様へ多分公表していなかったと思いますが、僕は横浜の障害児童支援施設で美術講師を8年間務めています。
と、いっても一日フルで働いている訳ではなく、週に一度、ふらっと一時間行くだけです。

7年前お金がなくて食べられなかった頃、絵描きの先輩に紹介してもらった仕事です。

今では辞めても支障はない(実際何度も辞めようとした)のですが、そこの職員さんに止められて、ずるずると7年目です。
現在はボランティアのような感覚で行っています。

僕はあまりお金に興味がないので、いくらもらっているかは不明です(聞いたことがない)。
毎週のルーティーンになっているような感じでしょうか。
ふらっと行って、そこの子供達と絵を描いて帰る。そんな感じです。


まずは、ここを踏まえてお話を進めさせていただきますね。
僕は、障害児童については素人ではないがプロでもないよ、といったスペックです。

施設や自身の教室で今まで様々な子を見てきた経験、それに加え、独自で調べた知識を基にお話しします。

様々な特性

「発達障害」「グレーゾーン」「境界知能」、様々な種類・呼ばれ方があるようです。
それぞれの特徴を見ていきましょう。

発達障害

発達障害図解

発達障害者支援法において、「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されている。

グレーゾーン

発達障害の症状と同じような症状を呈していても、診断基準を満たさないために発達障害として診断されないケース。定型発達でも発達障害でもない「発達障害の傾向がある」方々を指す言葉。

境界知能

知的障害はIQが69以下を指すことに対し、「境界知能」のIQは約70〜84。
人口の約14%程いるとされる(学校の35名のクラスの中に約5名程度いることになります)。

より詳しく見たい方は、こちらもご確認ください。
https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/h19-2/html/3_2_8.html
(内閣府HPより)

黒猫の美術教室の要素

前項でもお話したとおり、僕は障害児童の施設で週に1度美術の授業を行っています。
そして、自身の教室「黒猫の美術教室」で子供達に美術の指導をしています。

その黒猫の美術教室は、かなり稀な教室です。

通常はあり得ない、2つの要素を組み込んでいるからです。


【美術】×【子供】


内容は「大人の美術教室」、教室の中の空気感は「子供の絵画教室」となっています。


通常の美術の教室は、静かな環境で黙々と描くのが普通なのですが、うちの教室はかなり賑やかです。

むしろ僕がそうしています。


手を動かすことをやめなければ、話をしてもOK。
喋ってはいけないルールにすると、皆もたないですし、教室の雰囲気が悪くなりますのでトータルマイナスの部分のが多くなると考えての事です。

つまり、

内容は美術、雰囲気は絵画教室となります。


しかし、このような空間ですので、状況により、自閉症の子には辛い状況になり得ます。
また、学習障害の子には技法等を覚えられずに辛い時間になる可能性も高くなるでしょう。
そして、多動の傾向がある子は、長時間座って描くことが難しく、立ち歩いてしまったり、集中力が続かないことが多いため、長時間の受講には不向きな面もあります。


この教室の本質として、僕の教えたい事を教えたい。

具体的に書くと、古典や基礎等、他ではあり得ない僕だからこそ教えられる本格的で質の高い美術を教えたい。
そういった信念があります。

障害施設での指導

一方、支援施設では、美術の基礎等はほとんど教えていません。
いや、正確にお伝えすると、何度も試みましたが違いました。

支援施設の子供達は、それぞれに色々な障害を抱えた子達です。
車いすの子もいれば、発達障害を抱えた子が大勢来ています。

それを望む子もいないのです。


自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動症、グレーゾーン、境界知能と呼ばれる子も含め、様々な子がいます。
この施設に来ている子は皆、自分の特性を少なからず認識している子達なのだろうと思っています。

苦手なことはあるけど、それは生まれ持った特性だから上手く付き合っていく。無理せずそのままで良い。

周囲も自身もそう認めてあげられていて、気持ちの面でも強くいられている子達なんだと感じます。

その中で、そういった特性を持つ子供達は自由に描くことを大切にした指導をした方が良いと考えるようになりました。
僕らには描けないものを描くべきだと考えます。

指導内容は、どこにでもある子供の絵画教室程度といったところ。
黒猫の美術教室のように、古典や基礎が基軸にある美術ではありません。

でも、そこの子供達本当に良い絵を描くんですよ。
僕にも描けない絵を描きます。
その良さを伸ばしてあげたいと思っています。

因みに子供達にではなく、支援施設の職員さんには専門的な事を教えています。
これは、僕がいついなくなっても大丈夫なようにです。

共有できないという状況

黒猫の美術教室の生徒の中にも、発達障害、グレーゾーンと呼ばれる子供達がいます。
いや、お知らせいただいていないケースが殆どなのですが、経験上、発達障害やグレーゾーンと呼ばれる子達がいることが分かっています。


本当に残念なのですが、入会前にお話ししてくださるケースはほぼありません。
今までに一度だけ、入会手続きが進んでからお知らせいただいたケースがありました。

何も言っていただけないケースがほとんどです。


また、ご家庭からは何も伺っておらず、子供との何気ない会話から子供自身から聞いてしまう事も多いです。

このケースは、非常に微妙な状態となります。

・僕は知ってる

・子供も知ってる

・保護者様も知ってる


それなのに共有ができない。


ご家庭で、習い事には言わなくても良いだろうと決めているケースが多いのかもしれませんが、
指導する上で、お知らせいただいている、いない、というのはものすごく多きな違い(影響)があるんです。

安心して共有するために

何等かの特性をお持ちの場合は、指導する上で必要な情報となりますので絶対にお知らせいただきたいです。
おそらく皆様が心配なのは、発達障害、グレーゾーンということを理由に体験や入会を断られる、もしくは追い出されるといった部分でしょうか。


あり得ません。
そこは僕を信用していただきたいです。


既に教室へご入会いただいていて僕へ告知していないケース。
こちらもお知らせ下さい。

追い出したりしないです。
その子にとって、どんな美術指導が良いか一緒に考えたいだけです。
一緒に向き合わせていただきたい。

僕を信用してください。

無いとは思いますが、もし他の保護者様から何かあれば、その方にはご理解いただくよう努めます。
子供が嫌な思いをする前に、どうかお知らせ下さい。


その子の性格や特性を見て指導方法や接し方を変える必要も出てきますし、その子がどんな分野の絵が好きなのか、嫌いなのか、向き不向き等、指導する上でとても重要な情報になります。

必要があれば面談でもなんでもしますし、どういった美術を教えていけばいいか相談しながら進めます。
言いづらい話なのはすごく理解できますし、お気持ちは良くわかります。
でも言っていただいた方が間違いなくメリットは大きいです。
今からでも良いので、何か特性がある場合は、お知らせいただけますよう、どうかお願いいたします。


尚、お知らせいただく際は教室の指導時間を使うことになりますので、事前にメールでアポイントをとっていただくようお願いいたします。

二次障害について

長い期間、もやもやしている疑問があります。
子供がその特性について認識しているのかどうかです。

・そういった特性を持つことを子供が知るタイミングはいつなのか

・学校や家庭ではその子自身にどのように話をしているんだろう

・親は知っていても子供に伝えないケースもある?


子供自身がそういった特性があることを知らされていない場合、二次障害という心配な状況に陥りやすいという事例があります。
他の子と比べて自分が出来ないことを責めたり悩んだり、自身のせいにしてしまう傾向もあるようです。


実際、黒猫の美術教室の方では、二次障害のように感じられる場面を目の当たりにしてきました(保護者様と共有出来ていないケースになります)。

他の子供達と比べて、何度やっても覚えられない、上手く描けない、自分には絵の才能がない、他の人より不器用だ、自分よりも小さい子の方が上手に描いていて落ち込む。
そんな風に気持ちが弱ってしまう姿を目にすることがあります。

教室に来られなくなってしまった子もいました。
年齢が上がるにつれ、その悩みは増えているように見えましたが、教室側からそういった特性があるのではないかと保護者様へ伝えることは難しく、励ましながら見守ることしかできませんでした。
これが正しい対応だったのか、正解は今も分かりません。

勉強要素は強いが成功例もある

絵画は、芸術分野の中でも自由度が高いと思われがちです。
同じ芸術分野のピアノやバレエでは基礎が大事と言われるのに、どういうわけか、美術は基礎が大事だとはあまり言われない。芸術分野の中でも特例ですよね。

自由に描き認められる絵も沢山ありますから。

教室での指導は古典絵画や写実絵画をメインとしていますが、子供達の特性、または性格により、指導方法を変えなければいけない場面も出てきていると思っています。
古典絵画・写実絵画を描くには、適応できる子は実際少ないんです。


障害児童の扱いに慣れていると公表すれば、黒猫の美術教室にもさらにそういった子供達が集まりやすくなります。
しかし黒猫の美術教室は、本格的な美術を指導する場として設けていますので、趣旨の違いによる上手くいかないケースというのが増えてきます。

障害の有無に限らずなのですが、特殊な指導内容のため、これからご入会を考えていただく場合は、充分ご理解いただく必要があります。


何度も形を直したり、つまらない技法を覚えたり、本当に辛い作業です。
そういったことを教える教室は全国探しても殆どないと思います。非常に稀な教室です。

勉強の要素が非常に大きいので、学習障害があるお子様は難しいケースも多いのが実情です。
しかし、難しいのは難しいのですが、黒猫の美術教室で成功したケースが2例ありますので、絶対に無理ではありません。


ご相談の上、慎重に進めていけば特性の度合いや本人の努力により成功する例もあるとお考えいただけばと思います。

今後のご入会に関して

発達障害、グレーゾーンの特性の部分に限らないことなので、誤解をしていただきたくはないのですが、今後のご入会については、方針を変更する方向で考えております。


僕が教えられるのは、あと何人だろう。

それを最近考えます。

案外そんなに多くないかもしれません。

・本気で学びたいという強い意志がある子
・性格的に教室の指導内容に合う子
・根気よく絵に向き合える強いメンタルのある子

このような子供達に貴重な機会を与えたいと思っています。

普通の教室ではあり得ないのはわかります。
でもそうします。

・お問い合わせいただく

・体験教室

・教室にご入会いただくか、検討

・問題ない場合、ご入会


こんな感じを考えています。
今まで教室へ体験へ来た子は95%ご入会いただいておりますので、このような流れでも大丈夫かな、と。
具体的にどうするかは少し考えてみます。


教室運営を通して、僕自身も成長できたと感じることも多く、日々勉強させていただいております。

障害等の特性がある生徒、その他の大多数の生徒、そのどちらもが、快適に学べる環境を目指して行きたいです。

難しいことに直面することもありますが、子供達が楽しそうに描く姿や、苦戦しながら何度も書き直して頑張る姿、画力が伸びていると実感することも多く、生徒達の成長する姿は僕の励みになっています。

特殊で稀な指導をしている黒猫の教室ですが、自分の信念に自覚と自信を持ち、これからも精進して頑張らなければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ご連絡お待ちしております。

 

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