研究報告

黒猫

こんにちは、黒猫の美術教室です。


展覧会の作品制作が全員無事に終わりました。
皆、本当にお疲れ様でした。


現在はというと、展覧会に向けての準備でバタバタしております。
しばらくブログが書けなそうなので、今回はまとめて二本書きました。

ご確認いただけたらと思います。


今回は、全作品の中で一番僕の頭を悩ませた2作品のご紹介です。
完成していますので、先に完成作品を見せてしまいますね。

 

白くて丸い雪の妖精夏みかんのようにすずしげなカワセミ

格好良いです。
上が完成時中学校一年生、下が小学校五年生作品。

ただ、ここに来るまで、ものすごい悩みました。
悩んだのは「鳥」じゃないですよ。


背景です。


設計図

天満月(あまみつつき)

僕が描いた猫ですが、背景ボケてますよね。

こんな感じにしたい。
自然と鑑賞者様の視線が鳥にいくようにしたい。

僕は筆でこれができますが子供達には難しいです。
僕がここまでスフマート出来るようになったのは30歳過ぎてからです。

当然子供達がやるのは難しいです。


じゃあ、どうするか。

ここをずっと悩んでいました。

完成形は僕の頭の中にありましたので、そこまでどうやっていくか…の問題です。
感じるものがあるのに諦めるのは精神衛生上よくありませんし、何より格好いいものを描かせてあげたい、と悩んでいた訳です。

完成図はありますが、設計図がありません。


理想は、簡単に出来て格好いい仕上がりですよね。
でも、そんなもの無いんです。

しかし、どうにかして描かせたいので試行錯誤研究しました。
僕の研究期間の間は、子供達二人には先に鳥を描いてもらいました。

結論

色々試して出た結論は


筆は使わないです。


正確には、背景の一番下の色には使います。
でも、ぼかし(スフマート)には使いません。

 

ティッシュ

ティッシュで描き、スフマートします。


色々試した結果、これが一番良かったです。
割と簡単にぼかせて、調整もしやすかったので子供にも出来そうです。


皆様これ、お勧めです。
僕は偶然発見したんですけど、やってる人いますか?

制作過程

白くて丸い雪の妖精

やり方の説明は、こちらの鳥さんの方が分かりやすく簡単ですのでこちらの鳥さんでご紹介していきましょう。

制作過程

背景を全塗りしますが、その前に鳥さんはマスキングして保護します。

 

制作過程

彩度、明度を落とした色で背景を全塗りしてもらいます。
まずここがポイントです。

彩度、明度を落とした色で塗らないと上手くいかないですのでご注意下さい。
その上に、背景の色に若干白を加えた色でスパッタリングします。

 

制作過程

こんな感じです。

 

スパッタリングの道具

さて、スパッタリングですが、穴の空いているありとあらゆるもので試しました。
右から4つが粒の細かさがちょうど良く使いやすかったです。
スパッタリングといえば、茶こしでやる人多いと思いますが、僕が試した所いまいちでした。

網の穴の大きさが重要のようです。


話は戻りまして、

いよいよスフマートです。
ティッシュのスフマートです。

まず、ティッシュを丸めまして、先を平らにします。
そこに水を含ませます。

さらにそこに絵の具を含ませます(背景の色にホワイトを加えたもの)スタンプのように押していきます。


ポイントは、すぐに他のティッシュで拭き取る事

あくまでも薄く、何度も画面につけていきます。
濃さは回数で調整しましょう。

 

制作過程

するとこうなります。
後ろの雪景色がうまくボケていい感じです。

 

制作過程

さらに白を加えまして、降っている雪をティッシュで描きます。
先を細くしてやりましょう。

後ろの雪景色も徐々に明るくしていきます。
基本的には暗い→明るいへの一方通行が良かったです。

慎重に絵の具の調整をしましょう。

 

制作過程

マスキングをはがして見てみたいですが、もう少し我慢です。
続いて、近くに降っている雪です。

これは、スパッタリングで良いです。
ただ、大きめの粒が欲しいので、筆でやりましょう。大きな筆でスパッタリング。
先程よりもさらに、白を加えましてスパッタリングします。

幻想的でいい感じです。

制作過程

ここで、少しアクセントです。

金、銀を使います。

今の僕はまず使いませんが、昔は泊を使っていた事はあります。


なんで今回金、銀を使うかですが、
格好良くなるはずだからです。思いついたのだからやるしかないです。
前述しましたが、感じる事を諦めるのは精神衛生上良くありませんので。

こちらの鳥さんには背景+白の他にアクセントでシルバーを使います。
しかし、あくまでもアクセントなので、あまりうるさくなりすぎないように注意です。
美術作品は品が大切です。

品が無い絵は駄目です。

 

夏みかんのようにすずしげなカワセミ

こちらの鳥さんには金をアクセントとしてスパッタリングしています。
展示も隣になりますし、学校も同じです。(一人は進級して中学生になりましたが)、学年を超えて仲の良い子達ですので、対になるように考えました。

制作過程

我慢していたマスキングテープを剥がすとこうなります。
最後に鳥さんに積もっている雪を面相筆で描いてもらって完成です。

白くて丸い雪の妖精

いい感じです。
サインも入りました。

まとめ

この方法なら補助があれば、子供でも出来ます。難しいのは絵の具の調整ぐらいです。
絵の具の調整に関しては難しいです。
調整できる人が隣でサポートして下さい。


今回はこの二作品にかなりの体力を使いました。

生徒の二人もお疲れさまでした。頑張りました!
鳥にぴったりの品のある作品となっていると思います。


僕も疲れたので、ちょっと休んでマンダロリアン見て寝ます。お休みなさい。



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