子供の混色トレーニング

3月~4月のモチーフ

 

3月、4月で取り組んだモチーフです。

この中から皆好きなモチーフを選んで、制作するという初めての試みです。

子供達の様子を見ていると、この試みは結構良いようです。

好きなモチーフを選ぶ楽しさがありますからね。

また、違うモチーフでも考えてみます。


さて、4月中に終わらせなければいけなかった作品。

あまりゆっくりしている時間は無いのですが、今回は前々からやりたかった混色の勉強をしました。

基本的に、既にグリザイユの工程(明暗の工程)は終わっている為、ここからは固有色をつけていく作業になります。

今回、固有色というキーワードが沢山でてきます。固有色ってなぁに?という方は、『グリザイユで明暗を表現しよう』の固有色についてをご覧下さい。




混色に慣れている人なら、対象(モチーフ)の色を見れば、絵の具のこの色とこの色を足して…と答えをすぐに出せます。

慣れていないと難しい作業ではありますが、今回、子供達に自分で考えて固有色を作ってもらいたいと考えました。



子供達が自分で考えて答えを見つける事に意味があるので、簡単に答えは教えないようにしました。

僕がすぐに教えてしまうと、子供達は考えたり覚えたりしなくなってしまいますから。

厳しいようですが、子供達の為です。

頑張って考えてもらって、わからなかったら、少しずつヒントを出して。最終的に答えを見つけてもらうように意識して指導しています。



全ては、子供達が混色に慣れるトレーニングが目的です。

混色は色の勉強にはもってこいです。

また、よく見る事により、見える色の幅も広がります。

観察力がつくんですね。


小学生のうちからトレーニングをつめば、普通の人よりも色が見えるようになりますし、またどんな色でも作れるようになるでしょう。

今回のブログは子供達の混色トレーニングの様子を書いていますが、黒猫の図書館内『混色について - 羊と狼色』も合わせてご覧いただくと、より分かりやすくご覧いただけます。

 


 

目次

 

1.ハーマイオニーの髪の毛の色

 

2.スティッチの肌の色と目の回りとお腹の色

 

3.BB-8の模様の色

 

5.ジン・アーソの髪の毛の色

 


 

ハーマイオニーの髪の毛の色

ここからは、子供達の混色トレーニングの様子をお伝えいたします。

子供達には最低限のヒントだけで、色を作ってもらいました。

沢山あるため全てはご紹介出来ませんが、子供達が頑張った混色トレーニングをご覧下さい。


モチーフを自分で観察して、考えて、混色をして固有色を見つけてもらいます。


同じモチーフを描いている子供同士での相談はOKです。
お友達同士協力して、固有色を見つけましょう。

いくつか、分かりやいものを紹介させていただきます。

 

ハーマイオニーのモチーフ

まずはハーマイオニーでみていきましょう。

今回ハーマイオニーを描いているのは4人。
特に低学年の生徒様が多いです。

可愛いですからね。

今回ハーマイオニーが一番人気でした。

ハーマイオニーは借り物なので、丁寧に扱いましょう。

なるべく絵の具等が着かないように…。


さて、まずはハーマイオニーの髪の毛の固有色を考えてみましょう。



皆様何色にみえますか?



茶色ですね。


では、どの茶色でしょうか。


ローアンバー?

バーントシェンナ?

バーントアンバー?


等々…

茶色といっても沢山種類があり、それぞれの絵の具に特徴がございます。

また、このハーマイオニーの髪の毛の色を完全再現しようとしたら、最低3色の混色が必要になります。

 

混色

子供達が苦戦して出した結論(混色)はこちらになります。
試行錯誤をしながら頑張って作っていたためパレットがカオス状態です。

 

どの色も似ていますが、微妙に少しずつ違いますね。

 

子供達が使った絵の具はこちらです。

・バーントアンバー
・イエローオーカー
・バーントシェンナ
・チタニウムホワイト

以上4種類です。


これ以外にも赤や黄色を混色した生徒様もいましたが、実験中(混色中)に子供達はすぐに違うと気付いたので、ここには入れませんでした。

子供達の選択した絵の具は大体一緒でしたが、配合の割合に差があり、それが最終的な色の差に繋がりましたね。

 

混色

始めは、相談というよりは競うようにして個々に色を作っていましたが、最後は2人のを混ぜたらちょうど良さそうなどと相談しながら協力して楽しくできたようです。


沢山監察をして、考えながら混色してくれました。

 

スティッチの肌の色と目の回りとお腹の色

次はスティッチの固有色です。


皆様、スティッチの肌の色は何色にみえますか?



青と答える方がほとんどだと思います。



しかし、このモチーフの青は単純な青ではありませんね。



画像ではわかりにくいですが、少し渋みがある青です。

難しいですが、子供達に考えてもらいます。

 

混色

子供に作ってもらった色はこちら。

 

使った色はこちらになります

・ウルトラマリン
・バーントアンバー
・チタニウムホワイト

以上3種類です。

ウルトラマリンとチタニウムホワイトだけでは、渋みが足りない為バーントアンバーを足します。


バーントアンバーは本当に便利な絵の具です。

少し彩度や明度を落としたい時にも使えますし、黒を作る時も使います。

バーントシエナでも良いのですが、少し控えめな暗さになるため個人的にはバーントアンバーの方が好みです。

子供達にも、そう教えています。


これはかなり近いです。

良く頑張りました。


続いて、スティッチの目の回りやお腹の色もご紹介します。

 

絵の具の画像

子供達が使った色はこちらです。

・コバルトブルー
・ターコイズブルー
・チタニウムホワイト


上手に混色していますね。

ターコイズブルーとチタニウムホワイトだけでも出来そうですが、メーカーによっては緑が強かったりするので、その場合はブルー系で調整しましょう。

 

スティッチの絵画

実際に混色した肌の色と目の周り、お腹の色で塗ったスティッチはこちらです。

 

BB-8の模様の色

BB-8のモチーフ

次はBB-8の模様の色です。

皆様何色にみえますか?


オレンジまではいかない、若干赤みを感じさせる黄色ですね。

 

混色

試行錯誤の上、子供が作った色がこちらです。

かなり近いですね。
上手に表現出来ています。

これを作ったのは高学年の生徒様です。

色の感覚は子供によって違いがありますが、高学年の子には割りと簡単なのかもしれません。

 

ジン・アーソの髪の毛の色

ジン・アーソのモチーフ

最後にご紹介するのは、ジン・アーソの髪の毛の色です。モチーフはこちらです。

黄色が強めの茶色ですね。
では、実際、混色してどんな色が出来たのか見ていきましょう。

 

 

混色

子供が作った色はこちらです。
バーントアンバーやバーントシェンナは赤が強いので、


使った色はこちらです。

・イエローオーカー
・バーントシェンナ
・バーントアンバー
・チタニウムホワイト

この生徒様は混色にある程度慣れている為、すんなりと色を作っていました。

 

絵画作品

混色で作った色で、塗った作品がこちらです。
モチーフに近いですね。上手に混色出来ました。



さて、今回は子供達の混色トレーニングを行いましたが、子供達は楽しんでやっていたように見受けられました。

子供には自分で作るという作業はとても楽しいものなのかもしれません。

今後も混色トレーニングは積極的に行っていきたいと思っております。




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2019年05月20日