
子供の頃から何気なく使っている絵の具ですが、絵の具って何で出来ているのでしょう。
意外と知らないのではないかと思います。
絵の具のチューブの中には何が入っているの?
絵の具には沢山種類があるけど、どう違うの? …等など。
今回はそういった疑問を解決していきたいと思います。
どうか最後までご覧下さい。
絵の具って何でできているの?

まずは絵の具が何で出来ているのかを見ていきましょう。
絵の具の成分とは?
【顔料】+【バインダー】=絵の具になります。
顔料?バインダー?
どちらも聞きなれない言葉で分かりにくいと思うので、1つずつ見ていきます。

☆顔料
顔料とは、水や溶剤に不溶の[粒子性を持った個体]として定義されています。
簡単にいうと色の粉です。
顔料の種類により何色かが決まります。
絵の具の種類に関係なく、実は使われる顔料は同じなのです。
顔料は、天然の土や鉱物のほか、科学的に合成したものでできています。
とても高価な顔料もあれば、安価な顔料もあるため、色によって絵の具の値段にばらつきがでてきます。
顔料と似たものに【染料】というものがあります。
こちらも一応説明しておきます。
この顔料と染料、同じ色の粉なのですが違うものになります。
【顔料】は水や溶剤に溶けないものをさし、【染料】は水に溶けるものをさします。
よく「絵の具を水に溶かす」と言いますが、実際には溶かしている訳ではなく、正確には水で分散しているだけなのです。

☆バインダー
先程解説した顔料は、いずれも水に溶けないので、顔料を練り合わせて支持体に定着させるためのバインダー(接着剤)が必要になります。
バインダーは[展色材]や[メディウム]とも言い、糊材の役目をします。
顔料だけでは支持体(キャンバスや板など絵の具を乗せるもの)に定着しないため、糊の役割をするバインダーが必要です。
そのため、絵の具の中には必ずバインダーが入っています。
そのバインダーの種類により、[水彩絵の具]、[アクリル絵の具]、[油絵の具]などの種類が決まります。
バインダーには、[アクリル樹脂]、[アラビアゴム]、[ポピーオイル]、[リンシードオイル]などがあり、
それぞれの性質により水溶性になったり油性になったりします。
このバインダーと色を組み合わせる事により、私たちの良く目にする絵の具が出来上がります。
絵の具のチューブが一般的に出回る1840年頃までは、画家自身やその弟子がこの2つを混ぜて絵の具を自作していました。
えっさほいさと顔料を砕き、バインダーに混ぜて混ぜて作っていたわけですね。
今は画材屋に行けば好きな色が手に入ります。昔の苦労を考えるととても便利な時代になりました。
絵の具の種類
ここからは、様々な絵の具の種類について解説します。
バインダーの種類によって絵の具の種類が決まるのですが、どのような組み合わせでどのような絵の具ができるのか、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
透明水彩とガッシュ
【顔料】+【アラビアゴム】=透明水彩絵の具
★透明水彩絵の具、ガッシュについては透明水彩とガッシュを解説をご覧下さい。
アクリル絵の具とアクリルガッシュ
【顔料】+【アクリルエマルジョン】=アクリル絵の具
★アクリル絵の具、アクリルガッシュについてはアクリル絵の具とアクリルガッシュを解説をご覧下さい。
油絵の具
【顔料】+【リンシードオイルやポピーオイル】=油絵の具
日本画用絵の具
【岩絵の具、顔料】+【膠(にかわ)】=日本画用の絵の具になります。
※正確には絵の具の中には顔料とバインダー以外にもチューブ内の絵の具の劣化を抑えるためグリセリンや防腐剤、防カビ材なども少量含まれます。
このような組み合わせで様々な種類の絵の具が作られています。
【顔料】や【バインダー】の種類によって絵の具の種類が決まるように、[耐光性]、[耐久性]、[耐候性]なども決まってきます。
それぞれの特徴を知り、自身の作品にマッチする絵の具を選択するのが良いでしょう。
まとめ

意外と知られていない絵の具について解説をしましたが、いかがでしたでしょうか。
色によって価格が違う理由や、アクリル絵の具、油絵の具などの違いなど、絵の具に対する疑問が解決できたのではないでしょうか。
これだけ理解すれば、あなたも絵の具マスターですね。
現在は、同じカテゴリーの絵の具でも、各メーカーから多数販売されています。
色も基本色の他にそれぞれのメーカーのオリジナルのものもあり、多種多様です。
画材屋さんに行くと、沢山の絵の具が並んでいるので選ぶのも楽しいと思います。
ぜひ、お気に入りの絵の具を見つけていただけたらと思います
黒猫の美術教室 トップページへ戻る