混色について - 狼と羊

パレットの上で絵の具を混ぜ合わせて、理想の色を作る事はなかなか難しいものですね。


子供対象の絵画教室では、良くこんな質問をされます。

リンゴの画像

このりんごの赤はどの赤ですか?

影の部分はどの赤ですか?

それは、パーマネントレッドに何々を加えて…と教えても、パーマネントレッドってなんですか?

と聞かれます。


是非とも絵の具の色相と名前は少しずつでも覚える努力をしましょう。

 

レストランの画像

例えば、レストランに入ってメニューを見ても料理の名前を覚えていなければ、好きなものを食べられないのと同じ事ですから。

絵の具の名前を覚えるには、絵の具をチューブから出す時に、パッケージやラベルを見て名前を確認してから出すようにします。

慣れてくると、このモチーフの色はパーマネントレッドとバーントアンバーの混色で作れるな…と対象をみれば頭の中で、混色のパートナーを探せるようになります。

混色をする技術を鍛えると、自由自在に色を扱えるようになるので、絵を描く際にとても便利になります。

また今回は「狼」と「羊」が良く出てきます。

まずは、こちらからご説明いたします。


目次

1.混色に潜む狼と羊

2.狼色と羊色をご紹介

3.まとめ


 

混色に潜む狼と羊

良く私たちは絵の具を「狼色」と「羊色」と言います。
これは、狼と羊の色を言っている訳ではありません。


ひとつの色と他の色とを混ぜ合わせると、一方が狼のように強く貧欲で相手を喰い倒し、もう一方の喰われる方は羊のように弱々しく、その絵の具の特徴や個性が無くなってしまうものがあります。

Aが狼

Bが羊

とします。

Aの色にBの色を同じ分量混ぜたとします。


すると、Bの姿は見る影もなくなってしまいます。
Aの色に喰われてしまうのです。

Aの狼色はほんの少し筆の先に引っ掛けてきて 混ぜただけなのに、Bの羊色と混色するとパレットの上は、みるみるうちにAの色 一色になってしまいます。

そこでこれは大変だとまた最初の色を追加しますが、これが羊色ですとなかなか思うような色になりません。

それほど狼色は強い主張をしますので、扱いに注意が必要になります。

例をあげると、羊色のローズ・マダーに狼色のシルバーホワイトやチタニウムホワイトを混色した時は、ローズマダーを喰ってしまいます。

狼色と羊色をご紹介

ここまで狼と羊の話をしましたが、皆様狼を恐れなくて大丈夫です。

正しい使い方をすれば狼も恐くありませんから。

その為に、どの色が狼と羊なのか知る必要がありますね。

ここからは良く使われる色を狼色と羊色どちらなのかをご紹介いたします。


狼

狼(喰う色)

赤系
・ライトレッド
・インディアンレッド
・マースレッド
・ヴェネチアンレッド
青系
・プルシアンブルー
・インディゴ
茶系
・バーントシェンナ


主に狼色と言われている色を集めました。
この狼達をパレットの上で上手に飼い慣らすには細心の注意が必要になります。

間違って狼色を大量に羊色に混色してしまうと、もう目も当てられません。
相手を喰って、自分の色にしてしまいます。

では、狼色は使っちゃ駄目なの?と思われるかもしれませんが、そんな事はありません。

狼色は羊色に比べて主張が強い為、強烈な主張を求めるような絵画表現には、とても良い働きをします。

あくまでも、混色に注意が必要だよ。という事です。

クロームと名のつく絵の具はいずれも小さな狼ですのでご注意を。

プルシアンブルーやインディゴは狼の中でも暴れもの。
ものすごく強い狼色になります。

プルシアンブルーやバーントシェンナを、初心者の絵の具セットの中からつまみ出す先生もいるようですが、僕はしません。

勿体無いし、何より特徴を知って使うのが正しいと思うので。

狼とも上手に付き合いましょう。


羊

羊色(喰われる色)

赤系
・テラローザ
・ローズマダー

・ウルトラマリン
・コバルトブルー
・フタロブルー

・フタログリーン


続いては羊色です。
透明色(フタロ)と言われるものは羊色に含まれる事が多いです。
名前にフタロと入っていると、それは透明色という意味になります。
絵の具のパッケージに透明度が書いてある事も多いのでこれもご参考にして下さい。

紳士の画像

コバルトブルーやウルトラマリンは、節度のある羊紳士です。

何と混色しても、相手側の色をしっかりと活かして、自分もある程度の主張はするので、非常に使いやすい絵の具です。

まとめ

今回は、混色について書いてみました。
絵を描く人なら狼と羊は知っておいて損はありません。

と、いうか知っておいた方が良い知識になります。

頭の片隅に入れて、少しずつ覚えていきましょう。


最後までご覧いただきまして、有り難うございました。
子供達や、絵を学ぶ人にとって少しでも参考になれたなら幸いです。


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